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『ダークナイト』ラスト、バットマン&ゴードンの嘘をハービー・デントは許すか ─ アーロン・エッカートが語る

ダークナイト
© 2008 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

クリストファー・ノーラン監督『ダークナイト』(2008)は、『バットマン ビギンズ』(2008)に始まったブルース・ウェインの物語を次のステップに押し上げ、完結編『ダークナイト ライジング』(2012)への礎を固めた。物語の最後に待っていたのは、ブルースとジェームズ・ゴードン警部補が、ゴッサムシティのために“ひとつの嘘”を決意するという幕切れだ。

では、ゴッサムにとって希望の光だった検事ハービー・デントは、ブルースとゴードンの嘘を許しただろうか。演じたアーロン・エッカートが、米The Hollywood Reporterで自身の考えを明かしている。

この記事には、映画『ダークナイト』のネタバレが含まれています。

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ダークナイト
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ハービー・デントを「光の騎士」に

ゴッサムの新任検事であるハービーは、バットマンと協力して犯罪撲滅に動いていた。その高潔さに感銘を受けたブルースは、ハービーにゴッサムの平和を託しての引退を考える。しかしジョーカーにより街が混乱状態に陥る中、ハービーは自分がバットマンだと公に宣言し、逮捕される役を買って出た。ブルースとゴードンの尽力ゆえジョーカーは逮捕されたが、今度はハービーが誘拐されてしまう。間一髪でハービーは救出されるが、爆弾が炸裂し、顔の左半分が焼けただれる重傷を負うのだった。ともに誘拐された、ブルースとハービーが愛したレイチェルは命を落としてしまう。

絶望したハービーは、以前のニックネーム「トゥーフェイス」そのものとなった。誘拐事件に関与した人物を発見し、コイントスという“公平な”裁きのプロセスを経て、相手を殺すかどうかを決めるのだ。その手は汚職を放置したゴードンにまで伸びる。ついにバットマンはハービーと戦い、その結果、ハービーは息絶えた。では、市民の希望=光の騎士だったハービーが復讐に手を染めた事実を市民に知らせるか……。ブルースとゴードンの答えは“真実を闇に葬る”だった。ハービーをヒーローのまま送り出す、ブルースはハービーの罪をすべて被り、逃亡犯となる道を選ぶのだ。

「もしトゥーフェイスになる以前のハービーだったら、自分の身代わりになるという嘘を許したと思いますか?」。インタビュアーの問いかけに、ハービー役を演じたアーロン・エッカートは「いいえ。彼なら真実を語っていたと思います」と答えた。

「それがいかなるものであろうと、彼は真実を語り、道徳を中心に据える。そして、真実に向き合う。それがハービー・デントという男の素晴らしいところです。[中略]ハービー・デントは、真実と正義のため、すべての人々のために戦っていました。彼には自分自身を犠牲にする覚悟があったんです。ただ、実際にそんな目に遭った後、彼は永遠に変わってしまいました。」

もっともアーロンは、そんな真実とは裏腹に、「誰もがハービー・デントを失いたくないもの」だと述べた。ハービーはあらゆるプレッシャーや圧力、支配、腐敗などに耐えながら道徳や真実に殉じてきた、だからこそゴッサムの人々はハービーを信頼できたのだと。

「(ゴッサムでは)政治家になる者は、誰もが汚職に手を染めると思われています。汚職に手を染めない人は少ない、だから目立つんです。そうでなければ嘘でしょう。一方で現実には、尊敬される政治家やアスリート、セレブリティ、そういう人たちが腐敗しているかどうかは分かりません。彼らが決断を下した理由や、見えないところで何が起きているのかも分からない。しかし、だからこそ自分自身や真実に殉ずる人が貴重なのです。僕は、ハービーはトゥーフェイスの存在を認めないし、嘘を受け入れることはないだろうと考えています。」

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Source: The Hollywood Reporter

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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