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『インターステラー』涙のビデオ再生シーン、リハなしのファーストテイクだった

インターステラー
(C)2014 Warner Bros. Entertainment, Inc. and Paramount Pictures. All Rights Reserved.

クリストファー・ノーラン監督の代表作『インターステラー』(2014)の名シーンについて、主演のマシュー・マコノヒーが撮影の様子を振り返った。

その名シーンとは、マコノヒー演じるジョセフ・クーパーが、宇宙で子どもたちからのビデオメッセージを見る場面だ。地球に代わる居住惑星を探すため、宇宙へと旅立ったクーパーは、地球に残してきた子どもたちの成長を映像を通して見守る。しかし、地球と宇宙では時間の流れる速度が異なる。娘・マーフと息子・トムは父親よりも速く成長し、すっかり大人になっていた。父は、カメラ越しに語りかける2人を見つめて涙を流す……。

Vanity Fairにて、マコノヒーはこのシーンを撮影した当時を回想した。「撮影したのは月曜日の朝で、最初のシーンでした。週末はいい休みで、つつましく家族と過ごしたと思います」という。

「セットに着くと、ノーランがワイドショットの準備を始めようとしていたんです。リハーサルのためにビデオを再生しようとしていたので、僕がメモを書いたのを覚えています。“先に(演技を)見てください”と。それをクリスに渡したら、いきなり撮ることになって、ビデオを再生しました。それが最初のテイクで、映画に使われたものです。」

以前、ノーランもこのシーンの撮影秘話を語ったことがある。マコノヒーの演技を最初からクローズアップで撮影したのは「普段はやらないこと」だが、「すべてをあの瞬間に収めるため、ビデオはあらかじめ撮影し、彼(マコノヒー)も一切見ず、ファーストリアクションを見せたいと考えていた」と。もっともマコノヒーによれば、これは俳優側からの提案だったようだ。

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観客の胸を打つ演技について、マコノヒーは「とにかく想像し、理解しようとした」と語る。「自分が仕事に出かけて、10年帰れなかったらどうなるか。彼らが大人になったときのギャップや、その成長を人生のなかで見逃さなければならないという恐怖に、私はただ反応したのです」。

マコノヒー自身は、このようにエモーショナルなシーンを演じる際は、リハーサルではなくとにかく撮影することを好むという。「僕は、1テイク目こそが本物の演技だと思うのです。俳優として2テイク目で成長し、改善することはできるけれど、しっかりとリラックスし、ただ反応する1テイク目こそが演技。何が起きるのかを知りたくなかったのです」。

もっとも、実はマコノヒーとノーランの認識には違いがある。マコノヒーは1テイク目が本編に使用されたと考えているが、ノーランは以前「クローズアップを2度撮り、2つ目を使ったと思います」と話していたのだ。ちなみにノーランによると、「1つ目はあまりにも生々しすぎた」という。

Source: Vanity Fair

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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