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すべてはここから始まった― 『アイアンマン』超重要シーン、最初は小ネタとして製作されていた

マーベル
※画像はイメージです。

2018年、マーベル・シネマティック・ユニバースは始動から10周年を迎えている。集大成となる映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)の公開を控える中、その記念すべき第1作『アイアンマン』(2008)を手がけたジョン・ファヴロー監督が驚きの事実を明かした。

今やマーベル・ファンであれば知らない者はいないであろう、超重要なポストクレジットシーンは、当初コミックファンのための小ネタとして用意されたものだったというのだ。

注意

この記事では、映画『アイアンマン』のポストクレジットシーンについて言及しています。

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ニック・フューリー、まさかの小ネタ扱い

『アイアンマン』のポストクレジットシーンで、主人公トニー・スターク/アイアンマンの前に現れるのは、政府の秘密組織S.H.I.E.L.D.のリーダーであるニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)だ。そこで彼は、トニーが広い世界の一部にすぎないこと、そしてアベンジャーズ計画の存在を口にするのである。
キャプテン・アメリカやソーをはじめとしたヒーローとのクロスオーバー作品『アベンジャーズ』(2012)、そして現在に至るまでの大きな流れは、まさにこのシーンをきっかけとするものだ。

Entertainment Weekly誌にて、『アイアンマン』や『アイアンマン2』(2010)を手がけ、現在もマーベル・シネマティック・ユニバースに携わり続けているファヴロー監督は、このポストクレジットシーンを「一種のお遊びでした」と振り返っている。

「ファンの皆さんが喜んでくれるイースターエッグ(小ネタ)を入れたかったんです。僕たち(製作スタッフ)は、ポストクレジットシーンを用意するのはいいなと思っていました。あの場面は、もともと脚本にはなかったんですよ
でもニック・フューリーをサミュエル・L・ジャクソンに演じてもらうのはすごく良さそうだと思いました。だって『アルティメッツ』(編注:コミック。2002~2004年に刊行)で、マーベルはサミュエルをモデルにしてニック・フューリーを描き直してるわけですから。観客への最高の目配せになると思ったんです。」

このアイデアには、自身も大のコミック・マニアであるというマーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長も熱狂したという。ポストクレジットシーンでニックが喋るせりふは、ファヴロー監督とファイギ社長が二人で執筆したものだそうだ。

「どんな言葉を使うのか、すごく気を遣いましたね。“君はもっと大きな宇宙の一部なんだ”とか、“アベンジャーズ計画(Avengers Initiative)”とか、(当時)予定していたものの前振りだったんですよ。キャラクターをなんとかひとつに合流させるというアイデアは、いずれやりたいことのひとつとしてあったんです。ただ、そのためには成功させなきゃいけないものが多すぎて。そこで、自分たちの意志を示すために、希望する方針をはっきり述べることにしました。映画館に来るだろう、数少ない(コミックファンの)観客が一番喜んでくれるとも思ったんです。」

すなわちニック・フューリーの登場は、コミック『アルティメッツ』(小学館集英社プロダクション刊)を踏まえた小ネタにして、そのせりふはマーベル・スタジオの意思表明だったという、やや複雑な背景を持つものだったのだ。この時点では『アベンジャーズ』すら、本当に実現できるとは限らなかったわけである。むろん、その後のマーベル・シネマティック・ユニバースの躍進ぶりはいまさら説明する必要もないだろう。

ちなみに『アイアンマン』で「お遊び」として呼ばれたサミュエル・L・ジャクソンはその後も複数の作品に出演しており、2019年公開『キャプテン・マーベル(原題:Captain Marvel)』では1990年代、若かりし頃の姿で登場することになりそうだ。なにせファイギ社長は、同作で「キャプテン・マーベルを、ニックが初めて出会ったヒーローとして紹介したい」述べているのである。こんな展開になるなんて、サミュエル本人やファヴロー監督はおろか、きっとファイギ社長すら10年前には想像していなかったに違いない。

Source: EW

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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