『IT/イット THE END』ペニーワイズは「殺されたがっている」

『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(2017)で、ルーザーズクラブの子どもたちを恐怖で徹底的に追い詰めた“それ”ことペニーワイズ。完結作『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』では、大人になったルーザーズクラブが故郷デリーに戻り、27年ぶりに姿を現したペニーワイズとの最終決戦に挑む。
興味深いことに、今作のペニーワイズは、大人になったかつての獲物を仕留めたいと願うばかりか、むしろ逆に殺されてしまいたいと願っているという。どういうことか。ペニーワイズのビル・スカルスガルドが本国のインタビューで答えた。
「1作目で、彼(ペニーワイズ)はほぼやっつけられそうになった。そんな経験は彼にとって初めてだった。彼はその仕返しをしたいと思っているんです。だけど彼の中には、やっつけられてしまいたいという気持ちもあるんです。今度こそ、本当に。そこが僕にとっては非常に興味深かった。彼は怒っている。復讐したいと思っている。その一方で、無意識のうちに……、いや、ペニーワイズに無意識というものがあるかどうかは分からないですけれど、彼はどこかで破壊されたいとも思っているんです。」
共に取材に答えていたアンディ・ムスキエティ監督も、「君(ビル)が言ってくれたおかげで思い出しました」として、次のように加える。
「僕らは、ペニーワイズの中に、殺されてしまいたいという願いがあるというところに、すごく惹かれたんです。そこは1作目の時に話したことにも繋がります。(1作目の時に)僕らは、ペニーワイズは必死でサバイバルしようとしているキャラクターだという話をした。子供のイマジネーションの中に生きる存在だからです。つまり、生き続けるためには、殺し続けないといけない。殺し続ける限り、彼は生き延びられる。その部分がどこまで完成作に残ったかは分からないですけど、そういう話をしていましたね。」

どうやら『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』は、ただ残虐で暴力的な殺人鬼というわけではなく、いびつな形でルーザーズクラブに執着する、特殊な性質のヴィランになっているようだ。何せ、27年ぶりに現世に戻ったペニーワイズは、ルーザーズクラブのメンバーに「COME HOME(戻っておいで)」と恋しいメッセージを送っているくらいである。
映画『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』は、2019年11月1日(金) 全国ロードショー(IMAXⓇ/4D/吹替版 同時公開)。