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【ネタバレ】『IT/イット THE END』冒頭シーンの真意、監督が力説 ─ どうしても映像化したかった、切なる理由とは

IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。
©2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

この記事には、『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』のネタバレが含まれています。


なぜ殺されたのは弱者の方なのか

アンディ・ムスキエティ監督とバルバラ・ムスキエティ プロデューサーが詳しい解説を教えてくれたのは、ゲイのカップルが襲われる冒頭のシーンだ。エイドリアン・メロン(カメオ出演として、映画監督で俳優のグザヴィエ・ドランが演じている)という青年が、ボーイフレンドといるところをチンピラ集団に襲撃され、暴行された後に川に投げ捨てられる。チンピラは立ち去る一方、溺れるエイドリアンの元にペニーワイズが現れ、無残に食べられてしまう……。

この救いのないシーンは1986年発売の原作にも登場するものだが、アンディ監督は「どうしても映画に取り入れたかった」とこだわりを語る。

「キングが原作本を書いていた当時、アメリカのメイン州バンゴーというところで、チャーリー・ハワードという名の若者が殺害されました。チャーリーもゲイであり、本当に今回の映画のように殺されたんです。橋から川に投げられて、溺死してしまった。」

キングにとってはこの出来事を小説に取り入れることが大切であり、僕にとっては映画化することが大切だった、とアンディは語る。「だって、今の時代になっても、何も変わってないじゃないですか!

リッチーがゲイであることについて

アンディ監督が『IT/イット』で特に意識したのは、物語と現実社会とのリンクを見落とさないこと。例えば、ルーザーズクラブのひとりリッチー・トージアは、今作でゲイであることが明確に描かれる。

「リッチー・トージアは、彼のように性アイデンティティに苦しむ人々の投影です。“今どき、(性アイデンティティの悩みを)隠している人もいなくなったよね”とか言う人がいるでしょう。とんでもない。とんでもないですよ!沢山の人が隠して、苦しんでいる。世間に晒されて、虐められ、傷つけられることを恐れている。僕は、リッチーや他のキャラクターを通じて、そうした葛藤を描く必要があったんです。」

彼らを追い詰め、苦しめるペニーワイズは、「恐怖を道具として使って、人々を操り、分断し、憎悪を煽る、現実社会の悪」の象徴だと説明するアンディ。だからこそ、冒頭のエイドリアン襲撃シーンは救いのないやるせなさが表現されている。ペニーワイズに食われたのは、ゲイを迫害する心無いチンピラではなく、暴行され、川に突き落とされた弱者の方だった。アンディ監督の姉で、プロデューサーのバルバラ・ムスキエティはこう考えている。

「ペニーワイズは弱者を弄ぶ存在ですが、今の状況では、エイドリアンこそ真の弱者とされています。(ペニーワイズは)ソーシャル・ジャスティスですらなく、ただの悪。この社会が生み出した悪の影です。

バルバラは「エイドリアンのシーンには、さぞ腹が立ったでしょう」と続けた。「だから……、ネタバレしたくないんですけど……」、何か伝えたい様子だ。一体何を言おうとしているのか。

アンディ監督によれば、第1作・第2作を再編集して1本に繋いだ特別版、通称「スーパーカット」が計画中だという。「ここで詳しくは言えません」ということだが、バルバラはこう予告する。

……あの加害者たちは、報いを受けますよ。」

映画『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』は、大ヒット公開中。

ネタバレなしインタビューはコチラ

Writer

中谷 直登
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER編集長。ライター、メディアの運営や映画などのプロモーション企画を行っています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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