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トム・ヒドルストン「ロキに必要なのは自分自身の心」 ― 『インフィニティ・ウォー』現在の心境を分析、『ブラックパンサー』悪役を絶賛

©THE RIVER

映画『マイティ・ソー』(2011)以来、トム・ヒドルストン演じるロキがマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)で果たしてきた役割はあまりにも大きい。邪悪な一面に複雑な人物造形、見え隠れするユーモア。初登場から7年を経た現在でも、その魅力をもって「MCU最高のヴィラン」と称されていることに異論を持つ者は少ないだろう。

『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)を経て、そんなロキにも大きな変化が到来している。キャラクターをこれまで断続的に演じ続けてきたトムは彼の現在地をどう見つめているのか? 米ScreenRantのインタビューでは、トム自身長らく演じてきてわかったというロキの心境が直接的に語られている。

注意

この記事には、映画『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』『マイティ・ソー バトルロイヤル』のネタバレが含まれています。

今のロキが求めているもの

アスガルドの王座に就きたい。父親オーディンや兄のソーから認められたい。シリーズを通して描かれてきたロキの目的は、『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』(2013)、そして『マイティ・ソー バトルロイヤル』でついに達成された。
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の予告編ではスペース・ストーンを差し出す様子が映し出されていたが、現在のロキは何を求めているのだろうか……?

「(ロキが求めているのは)自分自身の心だと思います。彼を演じてきて分かったのは、すべてのモチベーションが実際には正しいものではなかったということ。王にならなければいけない、父親から愛されなければいけないという目的は、実は彼の内側にある問題だったんですね。
彼も完全には気づいていないけれども、ロキは自分自身を認めていないし、自分のことを嫌っている。心からリラックスできていないんですよね。いつも僕は“ロキ、落ち着いて”、“ピザでも食べに行こう”って言いたいし、全部を話してほしいし、彼の言うことをじっと聞いてあげたい。彼は、自分自身の心がわかっていないと思うんです。」

こうしたロキの繊細な内面は、トム自身が演技の中で紡ぎ出してきたものであり、またこれまでロキを描いてきた脚本の積み重ねによるものだ。ファンからの高い支持に驚いているというトムは、「脚本に恵まれていると思います」とも述べている。

「ケネス・ブラナーの映画(『マイティ・ソー』第1作)で、ロキにはつらい展開が用意されていたし、弱さも描かれていた。[中略]最初から悪役なのではなくて、ある事実の発覚によって悪役になるんですよね。それからジョス・ウェドン(『アベンジャーズ』(2012)脚本・監督)はロキをすごくチャーミングに、軽やかに、カリスマ的に描いてくれた。キャラクターを見事に、複雑に描いてもらえて幸せですよ。」

『ブラックパンサー』キルモンガーへの共感

「ある事実の発覚によって悪役になる」。こうしたキャラクターの変化について、トムは、『ブラックパンサー』(2018)でマイケル・B・ジョーダンが演じたエリック・キルモンガーとロキには似たところがあると話している。MCUで好きなヴィランを尋ねられたトムは、迷わずキルモンガーの名前を挙げているのだ。

「キルモンガー役のマイケル・B・ジョーダンは素晴らしい演技でした、最高でしたね。僕が(キルモンガーを)特別に感じたのは、彼の考え方を観客の一人として理解できたからなんです。たとえ理屈が間違っていたり、対象にすべきではない人たちに怒りをぶつけていたとしても、なぜ彼が怒っているのかがわかる。欠陥があっても、彼のロジックが理解できるんですよ。」

ブラックパンサー
©Walt Disney Studios Motion Pictures 写真:ゼータイメージ

『ブラックパンサー』のワールド・プレミアが行われた直後から、キルモンガーやマイケル・B・ジョーダンには絶賛の声が数多く贈られてきた。その中には、「ロキ以来最高のキャラクター」だと称える者も少なくなかったのである。そのロキを演じたトムも、MCUのヴィランの先駆者として、キルモンガーの人物造形に深く感じ入ったというわけだ。

大きな変化を経て、これからロキはどこへ向かうのか。闇の帝王サノスを相手に、彼はどのように振る舞うことになるのか……。ヴィランとしての役割をついに脱皮したロキの、まったく新しい活躍にも注目したい。

映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』は2018年4月27日より全国ロードショー

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』公式サイト:http://cpn.disney.co.jp/avengers-iw/

Source: SR

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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