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『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』楽曲裏話 ― 起用経緯、過去作品とのリンクも

映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』には、これまでマーベル・シネマティック・ユニバースを観てきたファンを喜ばせる仕掛けが多数用意されている。その中には、観客を耳で楽しませる楽曲のお楽しみもあるのだ。本記事では、映画前半で観客をニヤリとさせる一曲の裏話をご紹介したい。

注意

この記事には、映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』およびマーベル・シネマティック・ユニバース過去作品のネタバレが含まれています。すでに作品を鑑賞された方向けの内容となりますのでご注意下さい。なお、このページをSNSにてシェア頂く際は、記事内容に触れないようお願い致します。

アベンジャーズ インフィニティ・ウォー
© 2018 MARVEL

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー、登場曲の秘密

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』に豪華ヒーローのクロスオーバー作品としての品格を与えているのは、キャラクターの豊かさと演じる俳優陣の顔ぶれだけではない。ここぞというところで観客を痺れさせてくれる、きちんと狙い澄まされた選曲の妙を忘れてはならないだろう。たとえばキャプテン・アメリカの初登場には『アベンジャーズ』のメインテーマが、ワカンダへの場面転換には『ブラックパンサー』のメインテーマが、ソーやロケット、グルートのワカンダ到着には同じく『アベンジャーズ』のテーマ曲が流れるなど、過去10年分の積み重ねが聴覚をも刺激してくれるのだ。

むろん、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの初登場も例外ではない。待望のクロスオーバーとなった本作では、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズの特徴であり、彼らにとってはテーマソングといっていい1970~1980年代のロック&ポップスを聴くことができる。
本作で彼らの登場を彩ったのはスピナーズ(The Spinners)が1976年にリリースした楽曲「ザ・ラバーバンド・マン(The Rubberband Man)」。発売当時、米ビルボードのチャートにて第2位に3週間ランクインしたヒット曲だ。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズのジェームズ・ガン監督は、自身がアンソニー&ジョー・ルッソ監督に劇中曲の候補を提案したことをTwitterにて明かしている。

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの登場シーンのため、ルッソ監督に3曲提案しました。この曲(ザ・ラバーバンド・マン)は、そのうち一番うまくハマったものです。それから、そうです、(この曲は)Zuneに入っているんです。」

Zuneとはマイクロソフトが生産したMP3プレイヤーの名称。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017)のラスト、ヨンドゥがピーター・クイル/スター・ロードのために買っておいたものだとして、クラグリンからピーターに手渡された“新たな音楽プレイヤー”が『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の劇中では使われていたわけだ。

この選曲の経緯について、ジョー・ルッソ監督は米Comicbook.comのインタビューでこう述べている。

「ガーディアンズの登場をどうするか、判断するのに少し時間がかかっていたんです。登場のきっかけについて、たくさんのアイデアを話し合いました。ジェームズは将来的に作られるかもしれない、あらゆる『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の映画のため、フィットする曲のリストを膨大に用意しているんです。そのリストを熟読させてもらって、そこから最終的にひとつの曲に決めました。」

具体的な作業工程は不明だが、ジョー監督とジェームズ監督の証言を総合するならば、ジェームズ監督は楽曲リストをルッソ監督に見せたあと、さらにその中から候補として3曲を提案したということだろうか。
ジェームズ監督は『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』でガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの登場シーンを監修、さらに一部シーンの脚本を執筆していたことも判明している。その丁寧な仕事が作品のクオリティアップに繋がっていることは言うまでもないだろう。

ちなみにどうしても気になるのは、ジェームズ監督が『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.3(仮題)』以降の可能性も見越した上で楽曲リストを作っているらしいことだ。まだまだシリーズを続ける気は満々と思っていいのだろうか……?

映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』は2018年4月27日より全国の映画館にて公開中

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』公式サイト:http://cpn.disney.co.jp/avengers-iw/

[お詫び]
記事初出時、本文の情報に一部誤植がございました。現在は正しい表記に修正しております。謹んでお詫び申し上げます。

Sources: James Gunn, Comicbook.com

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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