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『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』サノスのデザイン、過去作での姿にあえて固執しなかった理由とは

マーベル・スタジオ映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)が全世界で絶大な支持を得るのには多くの理由がある。これまでのマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)に登場したヒーローたちが次々と豪華共演を果たす点のみならず、悪役として登場する帝王サノスに想像以上のドラマとキャラクター性が設計されていた点も重要なポイントだ。

『インフィニティ・ウォー』製作関係者らは、同作はサノスも主人公のうちのひとりであるかのような解説を繰り返してきているが、その信念はサノスの劇中姿にも現れている。

サノスのデザイン なぜ変更?

MCUにおけるサノスは、2012年の映画『アベンジャーズ』ミッド・クレジット・シーンで初登場。振り返って不敵に笑いながらスクリーンを睨みつけていた。続いて『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)では玉座にどっしりと腰掛け、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)ではついにインフィニティ・ガントレットを装着し「良いだろう、自分でやる」と拳を握った。

上MCU作品でわずかに登場していたサノスは、青い瞳を不気味に光らせ、余裕たっぷりに微笑む姿を見せていた。肌の色もやや青色がかっている。ところが『インフィニティ・ウォー』のサノスは、コスチューム・デザインのみならず目つきや表情の印象が異なっているのだ。銀河の生命の半分を抹消せんとする目標を掲げる『インフィニティ・ウォー』版サノスは、どこか哀愁味やいぶし銀をも感じさせている。最大の違いとなるのは、『インフィニティ・ウォー』版サノスのデザインからは、知性や人間性が感じられる点だ。

これは、過去作に登場したサノスの姿や印象の刷新に挑んだ結果だという。本作でVFXスーパーバイザーを務めたマット・エイトケン氏は、米ScreenRantのインタビューでその裏側を明かしている。

エイトケン氏の話によれば、『インフィニティ・ウォー』でのサノスは、過去作でのデザインをあえて意識し過ぎずに作ったのだという。エイトケン氏は、「私達がサノスを最もハッキリと見ることができたのは、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』内のシーンでした。これとキッカリ同じように作らなくて良かったのは、素晴らしい自由でしたね」と語る。

同氏は続けて、過去作でのサノスは型にはまっていて、わずかな登場を待つようだったと表現する。「でも、映画のリード・キャラクターとなって何百ショットも登場させるとなった時に、彼の見た目を洗練させる自由を得られたのは素晴らしいことでした。顔の表情をより自然にするために、顔全体や唇、まゆ、鼻、その他全てのディティールについて話し合いを重ね、より細かくて自然な顔つきにしたのです。顔の傷や毛穴、(あごの)シワに関してもですね。」

過去作の映像をお持ちの方は、『インフィニティ・ウォー』版サノスの顔つきが作る印象との違いを見比べて頂きたい。特に変化が顕著なのが顎まわりだ。過去作ではしゃくれたように大きな顎をしていたが、『インフィニティ・ウォー』では自然にまとまった輪郭となっている。これは、サノスをより人間らしく、(映画の中では悪役ながらも)より共感できるキャラクターに仕上げるためのデザインなのだろう。例えばモーション・キャプチャーで演じたジョシュ・ブローリンは以前、サノスについて「知性的なキャラクター」だと述べているほどだ。エイトキン氏は続ける。

「もしも過去作での姿にこだわっていたら、かなりの制約が生じてしまっていたと思います。でも(あえてこだわらないことで)問題は避けられた。当初から、マーベルは次バージョンのサノスを作る必要性を理解していたんです。過去作の姿を使って欲しいと指示されたことは一度もありませんでした。

『インフィニティ・ウォー』のサノスが、もしも過去作と全く同じデザインであったら、ここまでの説得力や共感性は生み出せなかったのかもしれない。今一度、『アベンジャーズ』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』でサノスが登場したシーンを見返してみると、新鮮な驚きが得られるだろう。

映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』は2018年4月27日より全国ロードショー。

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』ウェブサイト:http://marvel.disney.co.jp/movie/avengers-iw.html

Souce:ScreenRant

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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