『ジョジョ・ラビット』ディズニーの介入は一切なし、FOXサーチライトを支援へ ─ スカーレット・ヨハンソンも心配していた

『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)タイカ・ワイティティ監督の最新作『ジョジョ・ラビット』は、「反ヘイト風刺劇」を標榜する、あえて言えば“攻めた”一作だ。第二次世界大戦中のドイツを舞台に、立派な兵士を目指して奮闘する少年ジョジョが、空想上のアドルフ・ヒトラーを父親代わりにしていたところ、シングルマザーの母親が自宅にユダヤ人の少女を匿っていることを知ってしまうという物語なのである。
名門FOXサーチライト・ピクチャーズが手がけた本作を、同社を買収したウォルト・ディズニー・カンパニーはどう扱うのか。“ファミリー・フレンドリー”で知られるディズニーに、果たしてこの作品を扱いきれるのか。一部には幹部が作品に不快感を示したとの報道もあったが、どうやらディズニーは本作に一切介入せず、むしろきちんと支援する構えのようだ。出演者のスカーレット・ヨハンソンが明らかにした。
米The Hollywood Reporterのロングインタビューによれば、ディズニーが20世紀フォックス/FOXサーチライト・ピクチャーズを買収した直後、スカーレットは『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)の共演者とともにディズニー幹部と食事をともにする機会があったという。
「(その時に)幹部の方々から“『ジョジョ・ラビット』を楽しみにしてるんだ”と言われたんです。ちょうど買収された時だったので、“これからどうなるんでしょうか”とお尋ねしました。だって、サーチライトは尖った映画をたくさん作っていますから。きわどくて尖った、限界を超えようとする作品は、居場所を見つけるのがどんどん難しくなっていますよね。」
実はスカーレット自身、ディズニーがフォックスを買収したことで、「ディズニーでは『ジョジョ・ラビット』を公開できないだろうな、ディズニーらしくないからな」と考えていたそう。しかし、ディズニー幹部の答えはスカーレットを安心させるものだった。「実際のところ、『ジョジョ・ラビット』に全く変化はなかったし、良かったですね。私も何か変わるんじゃないかと心配していたので」。
なおThe Hollywood Reporterによると、ディズニーはFOXサーチライト作品に介入するどころか、むしろ熱心に支えていく方針とのこと。実際に『ジョジョ・ラビット』では、アカデミー賞を視野に入れた内部用試写のため、ボブ・アイガーCEOが自らホストを務めたという。インタビューで、スカーレットはディズニー傘下にあるスタジオの方針についてこのようにも述べている。
「ピクサーにせよ、マーベルにせよ、ディズニーがうまくいっている企業を買収する時は、スタジオのスタイルがそのままになっていますよね。クリエイティブの自由はスタジオのものだし、スタジオのDNAは損なわれていないんです。」
『ジョジョ・ラビット』は2019年9月8日(現地時間)に第44回トロント国際映画祭にて世界初上映され、超満員の観客と批評家に迎えられた。舞台挨拶にて、タイカ監督は戦争を直接的に扱った本作について、「あらゆる方法で同じ物語を伝え直し、自分たちや次の世代に語り継いでいくことが僕たちの使命であり、大切なことだと考えています」と語った。なお、スピーチの全文は以下の記事にてお確かめいただければ幸いである。
映画『ジョジョ・ラビット』は2020年1月全国ロードショー。
Source: THR