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DC映画『ジョーカー』に名優ロバート・デ・ニーロが出演する意義 ─ 80年代傑作『キング・オブ・コメディ』との関係は

ロバート・デ・ニーロ ジョーカー
[左]Photo by Georges Biard https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Robert_De_Niro_Cannes_2016_2.jpg

ワーナー・ブラザース&DCコミックス製作、映画『ジョーカー(邦題未定、原題:Joker)』は、数々の映画賞に輝くホアキン・フェニックスを主演に迎え、“狂気の犯罪王子”ジョーカーの誕生を描く物語だ。本作の大きな特徴は、名優ロバート・デ・ニーロが主要人物としてコミック映画への出演を果たすこと。ゴッサムシティで二人の実力者がついに相まみえるのだ。

『ジョーカー』にデ・ニーロが出演することは、この作品にとって一体どんな意味を持つのか? 米国版予告編が公開された今、作品の背景に隠された映画史への目配せをあらかじめ押さえておきたい。

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名作『キング・オブ・コメディ』の存在

『ジョーカー』は1981年を舞台に、青年アーサー・フレックが“狂気の犯罪王子”ジョーカーへと変貌していく経緯をリアルな人物描写で描く作品になるとのこと。脚本・監督は『ハングオーバー!』シリーズのトッド・フィリップス。笑いと恐怖、狂気は紙一重…ということで、意外な人選ながらその手腕には期待がかかる。

すでに公言されているように、本作が影響を受けているのは、巨匠マーティン・スコセッシが手がけた傑作カルト・コメディ映画『キング・オブ・コメディ』(1982)。この映画で主演を務めたのがデ・ニーロだった。コメディアンの卵である主人公ルパート・パプキンは、敬愛する人気コメディアン、ジェリー・ラングフォードとの共演を夢見るうち、ジェリー本人と出会ったことから少しずつ常軌を逸していく……。

『ジョーカー』でデ・ニーロが演じるのは、人気トーク番組の司会者であるマーレイ・フランクリン。『キング・オブ・コメディ』のジェリー・ラングフォードを思わせる役回りを、37年の時を超え、今度はデ・ニーロが務めるのだ。しかし米IndieWireのインタビューによれば、デ・ニーロいわく、マーレイ役は『キング・オブ・コメディ』で自身が演じたルパートを意識させるものでもあるという。マーレイとは、ルパートの精神性を尊重して生み出されたキャラクターだというのである。

(『ジョーカー』と『キング・オブ・コメディ』には)全体的に、はっきりとした繋がりがあります。僕の演じるマーレイが、かつてのルパートが年を取って司会者になったものだというような、直接的な繋がりではありませんけどね。」

2019年4月現在、『ジョーカー』のストーリーは謎に包まれたまま。ホアキン演じるアーサーと、デ・ニーロ演じる司会者マーレイがどのような関係性を結ぶのかもわかっていない。しかし『キング・オブ・コメディ』に影響を受けている本作にデ・ニーロが出ていることには、すでに“豪華キャスト共演”以上の意味があるのだ。デ・ニーロは両作の関係について、「(『ジョーカー』で)観ていただけるように、この手の映画を作ることは、どこかしら繋がっているものなんですよ」と語っている。

ちなみにデ・ニーロ自身は、あえて『キング・オブ・コメディ』のルパート役をいま再演することにも前向きのよう。インタビューでは「もし(ルパート役の)オファーをもらえるなら、“おもしろい、挑戦しましょうか”と言うでしょうね」と述べていた。

映画『ジョーカー(邦題未定、原題:Joker)』は2019年11月公開

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Source: IW

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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