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J.J.エイブラムスの『フォースの覚醒』カイロ・レンとハン・ソロ例のシーンについての新コメントから読み解けること

既にBlu-ray/DVDとデジタル版がリリースされている『スターウォーズ / フォースの覚醒』だが、同作は新たに『3Dコレクターズ・エディション』の発売が決定している(日本では11月22日発売予定)

このバージョンには新たなボーナス・コンテンツが収録されているのだが、この度その新映像の一部がDen of Geek!USA Todayなどの海外メディアにて公開された。同作の監督であるJ.J.エイブラムスが、カイロ・レンとハン・ソロの『例のシーン』について語っている。


【注意】

この記事には、『スターウォーズ / フォースの覚醒』に関するネタバレ内容が含まれています。

『例のシーン』とは言わずもがな、カイロ・レンが父親であるハン・ソロを殺害するシーンだ。新時代のヴィランはすべての観客を衝撃の刃で串刺した後、ファンの精神状態をハン・ソロの身体と共に高さ何メートルあるかも見当が付かない奈落の闇に頭から突き落とした。
それは明らかに世代の交代を意味していた。ならず者や海賊といった生い立ちの豪快な旧友ハン・ソロは、コミュニケーション能力を欠いた何を考えているかわからない若者に容易くも殺されてしまった。なぜカイロ・レンはあの悲劇を遂行したのだろう。J.J.エイブラムス監督は今回明かされたオーディオ・コメンタリーで以下のように語っている。

「カイロ・レンは初めから彼を殺すつもりだったのだろうか。私が思うにその答えは、あの瞬間カイロ・レンは、もう終わりにしようと確信したんだと思います。
ハン・ソロが言うように、スノークは彼を利用している。おそらくベンもどこかでそれに気付いているんだけど、受け入れられない。もう彼は、深く、遠くに行ってしまっていたんです。」

以前筆者は、以下の記事にてカイロ・レンとはアダルト・チルドレンであると論じた。ハン・ソロとレイア姫という偉大過ぎる両親のもと、ふたりから充分な愛情を注がれず育ったカイロ・レンは心に闇を宿していて、スノークに付け入る隙を与えてしまった、というものだ。

今回のエイブラムス監督のコメントはその論を更に裏付けるものとなった。カイロ・レンは自分が弱く、だからこそスノークに利用されてしまっていることも気付いている。つまり、どこかで罪悪感や違和感を抱いているのだ。実の父であるハン・ソロは、『親の立場』から正論を持ってそれを指摘する最後のライトサイドのひとりだった。しかし、カイロ・レンは今更ライトサイドに立ち返る事が自分にとって甚大なエネルギーを要することにも気付いている。だから断ち切ったのだ。カイロ・レンはあの瞬間、究極の『見て見ぬ振り』を遂行したわけである。

カイロレン ハンソロとのシーン

しかし、ファンは『エピソード8』以降にわずかな希望を残している。ハン・ソロはまだ生きているのではないか、という光だ。
スターウォーズ・ユニバースの医療技術なら、ライトセーバーで腹部を刺されたとしても適切な処置をすれば命は繋げるだろう。そもそも『フォースの覚醒』ではハン・ソロ絶命の瞬間は捉えられていないし、スターウォーズ・ユニバースで『奈落に堕ちて絶える』のはいつだってシス、悪側の人物だけだ。

その希望の光に僅かな燃料を振りまくように、エイブラムス監督は以下のように続けている。

「明らかに、スターウォーズではいつだって、二人のキャラクターが地上10マイルはあろう高さの、手すりもない驚異的に薄い橋の上で対峙する。そして片方にとっては良くない終わり方をするんです。」

これは言うまでもなく、『帝国の逆襲』でのルーク・スカイウォーカーとダース・ベイダーの場面の踏襲を指している。あのシーンでは、ダークサイド(ベイダー)がライトサイド(ルーク)に衝撃的な告白をした後、ライトサイドは負傷して落下した。『フォースの覚醒』も同じくして、ダークサイド(カイロ・レン)がライトサイド(ハン・ソロ)に衝撃的な告白(突然セイバーで刺し、良心の放棄を示すという無言の告白)をした後、ライトサイドは負傷して落下した。
そう、『帝国の逆襲』の踏襲を愚直に信用するなら、“負傷”なのである。”致命傷”や”即死”ではない。そして、既にあなたが察しているように、ルーク・スカイウォーカーは生きていたし、ハン・ソロもやはり生き延びたのではないか、という考えも正当化したくなる。

スターウォーズの創造文化が『踏襲』の上に成り立っていることは間違いがない。プリクエル三部作において創造主ジョージ・ルーカスは、この過去作からの踏襲について『詩と同じ美しさを紡ぐことができる』と述べている。再びこの『踏襲』を信じてみるとしよう。『エピソード3 / シスの復讐』でパドメが「アナキンにはまだ良心が残っている」と言い遺した。そしてその言葉が正しいことは、『エピソード6 / ジェダイの帰還』にて証明されている。
カイロ・レンにおいても、レイア・オーガナが全く同じ台詞を吐いている。もちろんこの理論に則るまでもなく、物語展開的にカイロ・レンがライトサイドに戻ってくることは用意に察することができるだろう。
アナキンは最後に自らの誤りを認めて果てた。ルークに直接「お前が正しかった」と善の心を絞り出している。カイロ・レンもいずれは自らの誤りを独白するであろう。問題は、彼もハン・ソロに直接謝罪できる可能性はどれくらい残っているかという点だ。

もちろん、全てが解明されるまで、僕たちはあと数年、こうして想像力を膨らませておくしか手段がないことを付け加えておく。

Source:http://www.denofgeek.com/uk/movies/star-wars/42932/star-wars-the-force-awakens-jj-abrams-commentary-on-that-scene
http://www.usatoday.com/story/life/entertainthis/2016/10/17/jj-abrams-star-wars-the-force-awakens-exclusive-commentary/92299234/
http://screenrant.com/star-wars-force-awakens-kylo-ren-han-solo-death/

Writer

中谷 直登
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER編集長。ライター、メディアの運営や映画などのプロモーション企画を行っています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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