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『アベンジャーズ』ロキの地球侵略、杖の影響を受けていた ─ 米マーベルが公式に認める

マイティ・ソー バトルロイヤル
© Walt Disney Studios Motion Pictures 写真:ゼータ イメージ

やっぱりそうや……ロキは悪いヤツなんかやなかったんや……。

米マーベル・エンターテインメントは、映画『アベンジャーズ』(2012)のロキが杖(セプター)の影響を受けた状態にあったことを公式ウェブサイトにて認めた。海外のファンがサイト上の記述変更を発見、米国のファンメディアが相次いで伝えている。

『マイティ・ソー』(2011)から現在まで、ロキはあらゆる作品でヴィランとしての役回りを務めてきた。しかしそのキャラクター造形は、一言に「ヴィラン」だと断じてしまえるものではない。最もヴィランとしての性質が強かったのは『アベンジャーズ』だが、それ以降は兄の雷神ソーに対する複雑な思いを抱えたキャラクターとして描写される傾向が強まっていった。

それでは『アベンジャーズ』での、「地球を侵略する」という(今から考えてみればいささか大それた)企みは一体なんだったのか。このたびマーベルは、キャラクターのストーリーを理解する補助線を用意したといっていいだろう。

ロキ、マインド・ストーンの影響を受けていた

『アベンジャーズ』で、ロキは宇宙種族チタウリを支配するジ・アザー、のちに『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)で本格登場するサノスと対面する。そこでインフィニティ・ストーンのひとつ、マインド・ストーンの埋め込まれた杖(セプター)を受け取り、ロキは地球へと攻め入るのだった。

この一件について、このたびマーベルの米公式ウェブサイトでは新たにこう記されている。

「悪戯の神に兄が愛する地球の支配を提案した見返りとして、サノスはテッセラクト(編注:四次元キューブ。スペース・ストーン)を要求した。与えられた杖(セプター)はマインドコントロール・デバイスとして機能し、ロキは他者を動かせるようになった。しかし彼も知らないうちに、セプターはロキにも影響を与えていたのである。兄であるソーや地球の住民への憎しみは膨らんでいった。」

このことからは、『マイティ・ソー』を経たロキが、『アベンジャーズ』でセプターの影響を受け、兄や地球への複雑な思いをあらん方向へと増幅させたことが窺える。憎しみという感情がその内面にあったことは間違いないにせよ、のちの作品でも描かれているように、それは「憎しみ」というだけの一面的な思いではなかっただろう。『アベンジャーズ』でのロキの振る舞いには、セプターの存在が大きく影響を与えていたとみられる。

ロキ役のトム・ヒドルストンは、かつて『マイティ・ソー』から『アベンジャーズ』に至るロキの状態について、このように語っていた

「(『マイティ・ソー』以降)ロキの心は非常に脆く、非常に孤独だったと思います。自分が(オーディンの)養子だったこと、それどころか父親が自分を見捨てたことを知ったんですから。そこで彼は、自分は見捨てられた、孤独だという思いを内面化した。そういう思いが激しいものに、強い怒りに変わって、彼はヴィランになったんです。(『アベンジャーズ』では)ロキは地球にやってきて侵略を試みる…あらゆる意味でヴィランになります。憎しみと怒りに突き動かされているんです。」

東京コミコン2018 トム・ヒドルストン
東京コミコン2018 トム・ヒドルストン ©THE RIVER

またトムは、別の機会にはロキの内面にきちんと寄り添ったコメントを発してもいる。

「(ロキが求めているのは)自分自身の心だと思います。彼を演じてきて分かったのは、すべてのモチベーションが実際には正しいものではなかったということ。王にならなければいけない、父親から愛されなければいけないという目的は、実は彼の内面の問題だった。完全には気づいていないけれども、ロキは自分自身を認めていないし、自分のことを嫌っているんです。」

『マイティ・ソー』から始まったロキの物語は、『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)でひとつの完結を迎え、そして『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』へと至った。一方でマーベル・スタジオは、2019年に米国で開始されるディズニーの新映像配信サービス「Disney+」でロキのスピンオフドラマを製作・配信する予定。その複雑ゆえに魅力的なキャラクターを味わう機会は、今後もたっぷりと用意されている。

Sources: Marvel, SR, CBR

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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