【ネタバレ解説】「ロキ」第5話の地中に映ったアイツの正体とは

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)ドラマ「ロキ」第5話では、ロキとは別の有名キャラクターの変異体が登場する。物語には影響せずチラリと映り込むだけのイースターエッグ(小ネタ)だが、実はこれには興味深い設定が仕掛けられていて……。
この記事には、ドラマ「ロキ」第5話『未知への旅』のネタバレが含まれています。
別キャラクターの変異体が見られるのは、「ロキ」第5話の序盤でロキたちが地下の隠れ家に降りるシーン。地上から地下へとカメラが移動していくと、地中にムジョルニアが埋まっている。その右下をよく見ると、ビンの中でカエルになったソーがムジョルニアに向かって跳ねている姿が確認できる。
これは、おなじみソーの変異体だ。これまで「ロキ」にはロキの変異体が複数体登場したが、“兄上”ソーの変異体が描かれたのは初。なぜソーは、ムジョルニアごと“虚無”の世界に飛ばされたのだろう。それも、カエルの姿で……。
実は、『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)に伏線はあった。「ロキ」で重要なイベントとして語られる“ラグナロク”を描いた同作で、ルーク・ヘムズワースとマット・デイモンがソーとロキ役で寸劇を演じていたアスガルドの場面を思い出してみよう。ここでは、息絶えようとするロキが、ソーに「兄上をカエルに変えた」との悪戯について謝罪するセリフがある。
ちなみにカエルのソーは、「Throg」の名で原作コミックにも登場している。本名(カエル名)はPuddlegulp。もとは人間で、呪いによってカエルの姿に変えられてしまったPuddlegulpは、ニューヨークのセントラルパークに暮らしながらネズミとの縄張り争いを繰り広げていた。ある時、ソーがロキの悪戯によってカエルの姿に変えられた時にPuddlegulpと出会うと、ふたり(2匹)は友達となる。
ソーはPuddlegulpに力を貸し、ネズミとの戦いに勝利。その後ソーがロキに魔法を解かせるためカエル社会を去ると、Puddlegulpはムジョルニアの破片を拾い、ソーと同じ力を得て“Frog of Thunder”ことThrogとなる。2018年のコミックシリーズでは、『マイティ・ソー バトルロイヤル』にも登場したヴァルキリーやスカージと共に「アスガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー」のメンバーにもなっている。
もっとも、ドラマ「ロキ」に登場したカエルのソーは、『バトルロイヤル』の寸劇で語られていたように、ロキの悪戯でカエルの姿に変えられたまま何らかの理由で元に戻ることができず、TVAに剪定されてしまったソーという可能性もある。哀れな兄上!
ちなみにカエルのソーが閉じ込められていたビンには「T365」と書かれたラベルが貼られていたが、これはThrogがコミック初登場を飾った1986年の「Thor #365」へのオマージュだ。