『マダム・ウェブ』予告編を徹底考察 ─ スパイダーマンの運命が変わる? エゼキエルの正体がヤバすぎる説

『スパイダーマン』『ヴェノム』シリーズのソニー・ピクチャーズが新たに放つ映画『マダム・ウェブ』は、マーベル初の本格ミステリー・サスペンスとされる異色作だ。原作コミックでは未来予知でスパイダーマンを救う重要キャラクターとして登場するマダム・ウェブの誕生を描いた作品だが、公開された予告編からはどのようにスパイダーマンに繋がるのか、よくわからない。
そこでこの記事では、一見しただけでは伝わりにくい『スパイダーマン』ネタがいくつも隠されていることを解説する。その内容を紐解いていくと、衝撃的な可能性が明らかになって……。
実はこの『マダム・ウェブ』、『スパイダーマン』映画シリーズを根底からひっくり返す超アメイジングな重要作品かもしれないのだ。1万字かけて、たっぷり論じよう。
この記事で論じられる内容は、全て仮説です。映画『マダム・ウェブ』の内容を保証するものではありません。これらの仮説は正しいかもしれませんし、間違っているかもしれません。あくまでも考察としてお楽しみください。
『マダム・ウェブ』予告編に隠された「細かすぎて伝わらない」スパイダーマンネタ
この『マダム・ウェブ』予告編映像、実は冒頭でいきなりスパイダーマンを連想させる小ネタが登場している。主人公のキャシー・ウェブ(ダコタ・ジョンソン)が「4 Star」のネオンが輝くダイナーに入店するシーンだ。この「4 Star」とは、原作コミック『Amazing Spider-Man』でピーター・パーカーが溜まり場とした店である。

映像を見進めると、年内は学生たちで繁盛している。バスケットボールのTシャツを着ている学生たちの姿があるが、シャツには「Midtown Highschool」とプリントされている。ミッドタウン高校……、そう、ピーターの母校だ。
ちなみにこのシーンでは、イザベラ・メルセドが演じるアーニャ・コラソンの黄色いTシャツに「I Eat Math for breakfast」と書かれている。「数学なんて朝飯前」という意味だ。理系オタクのピーター・パーカーへのさりげないオマージュだろう。

店内には謎めいた黒いスパイダーマンのような人物が現れ、主人公や少女たちを次々と襲っていく。ナイフでひと突きにされたと思った次の瞬間、キャシーは店の前にもう一度戻っているのだが……。不可解な映像だが、ひとまず次に進もう。
お馴染みのMARVELロゴに続いて描かれるのは、「1週間前」、救命士であるキャシーが橋上の事故現場に駆けつけた様子だ。キャシーはひっくり返った乗用車のドライバーを救い出すのだが、自身は車内に閉じ込められ、そのまま川に落下してしまう。
「橋の上」「落ちそうな乗客」……ピンと来ないだろうか?これは『スパイダーマン』映画でお決まりの展開だ!
サム・ライミ版『スパイダーマン』(2002)では、グリーンゴブリンが子供たちの乗ったゴンドラとMJを端から落下させ、スパイダーマンはその両者を救った。そして『アメイジング・スパイダーマン』(2012)では、リザードの襲撃によって橋の外に投げ出されたいくつもの車両をクモ糸で吊るして次々と助けている。さらに『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』でも、ドクター・オクトパスによって放り投げられた車両をクモ糸で助けた。
この伝統が『マダム・ウェブ』にも引き継がれたということは、『スパイダーマン』サーガにまつわる<運命>めいたものがあるに違いない。ただし今作のキャシーの場合、自分は落下しているというのが、他のスパイダーマンとは違うところだ。
さらに興味深い説がある。このシーンでキャシーと一緒に救出にあたった男性救命士、実はピーターの叔父であるベン・パーカーの若き日ではないか?という噂があるのだ。はっきりした真偽は定かではないが……。

続く映像にも注意してほしい。本作の主人公キャシーには未来予知能力が備わるというのだが、ここで水中に沈むキャシーが一瞬だけ謎の“ビジョン”を見ている。水の中から赤ん坊を抱き上げる映像で、これはおそらく誰かの出産の瞬間だろう。そして意味深なことに、画面の左側に、スパイダーマンのスーツによく似た赤と黒の布のような“何か”が見える。
この赤ん坊は誰なのか?もしかしたら、これはピーター・パーカー誕生シーンではないか?キャシーは、この世界の<運命>を変えるピーターの誕生を予知したのだろうか?だとすれば、左側のスパイダーマンらしき“何か”は一体なんなのか……?

とにかく、引き続き映像を見ていこう。ベン・パーカー(かもしれない男)に助けられ、死の淵から生還したキャシーは、どうやらこの時に予知能力が覚醒したらしい。続くシーンでは、別の事故現場でキャシーが負傷者の心臓マッサージを行っている。しかし、不可解な“ビジョン”によって、キャシーには二通りの負傷者が見えている。(1)蛍光イエローのベストを着た男性と、(2)出血した別の救急隊員の男性だ。
おそらく、実際には(2)救急隊員が事故にあったのだろう。それでは、先にチラリと登場した(1)ベストを着た人物は誰なのか?この男性、どことなくベン・パーカー(かもしれない)役のアダム・スコットに見えなくもない。もしかするとキャシーは、ベンが死亡する未来を予知していたのだろうか?つまり、将来ピーター・パーカーに降りかかる<運命>の一部始終を?

続く場面では、キャシーが地下鉄に乗っている。そこにエゼキエル・シムズ(タハール・ラヒム)という謎の男が車両に現れると、キャシーは男が乗客を次々と襲うビジョンを予知する。これが、冒頭に登場した黒いスパイダーマンのような男の正体である。キャシーは、車両に居合わせた3人の少女を連れて逃げ出すと、森の中で「未来が見える」と打ち明ける。

キャシーの説明によれば、謎の男エゼキエルは、彼女の母コンスタンスと共にかつてアマゾンでクモの研究をしていたそうだ。2人が映った写真の裏には、「コンスタンス/エゼキエル ペルー アマゾン、1973」とメモ書きされている。蜘蛛の巣に向かってカメラを構える姿はピーターを彷彿とさせるようだ。

さらに森の中の会話を聞き進めると、どうやらキャシーはこの3人の少女たちと元々接点があったらしい。アーニャはアパートの同居人で、ジュリア・カーペンター(シドニー・スウィーニー)はキャシーと病院で居合わせ、そしてマティ・フランクリン(セレステ・オコナー)は一度車で轢きそうになったことがあったのだ。この4人、<運命>の糸で繋がっていたということである。
そして映像の終盤には、少女3人がスーパーヒーローのような姿に変身している。それぞれスパイダーウーマンとアラナで、いわば「女性版スパイダーマン」だ。ちなみに、アラナは原作コミックでスパイダーガールと名乗っている。

映像後半では、「未来を変えようとしている」「本当は違う未来だった」という意味深なセリフと共に、キャシーが未来予知能力を覚醒させてエゼキエルと戦うスリリングな映像が続く。
意味深な映像も混じっている。2:46では、ペプシコーラのネオン看板から「P」だけが落下している。このPは、ピーター・パーカー(Peter Parker)のことを暗示しているのではないか?ピーターといえば、恋人を転落事故によって失うという<運命>。落下するPのサイン、めちゃくちゃ縁起が悪いぞ……。

このように『マダム・ウェブ』は、スパイダーマンやピーター・パーカーにつながる隠れた描写がいくつも潜んでいる。やはり、『スパイダーマン』サーガに深く関わる作品なのではないか?考察を進めていくと、今後のユニバースに極めて重大な影響を及ぼすかもしれない“とんでもない可能性”にぶち当たってしまった。まぁ、順番に説明するから、落ち着いて聞いてほしい……。