マーク・ハミル『スター・ウォーズ』旧3部作を見返さない理由 ─ 「私がお前の父親だ」シーン裏話など披露

『スター・ウォーズ』ルーク・スカイウォーカー役のマーク・ハミルが、『アベンジャーズ』ルッソ兄弟が主宰するオンライン企画「ルッソ・ブラザーズ・ピザ・フィルム・スクール」にゲスト登場。『エピソード4/新たなる希望』(1977)『エピソード5/帝国の逆襲』(1980)『エピソード6/ジェダイの帰還』(1983)に関する様々なエピソードを披露した。
『帝国の逆襲』でルークはダース・ベイダーに敗れて右腕を失い機械の腕となるが、マークは「3作目でルークはダークサイドに堕ちて、最後に贖いをするんだと思っていた」と当時の考えを明かす。悪役を楽しめると思っていたから『ジェダイの帰還』の脚本を読んだ時はガッカリしたというが、ジョージ・ルーカスには「この映画は子供向けなんだ、おとぎ話とはそういうものだろう」と言われて納得したという。
マークは、「人生を変えた映画は白黒版の『キングコング』(1933)」と明かし、「泣いた。初めて見たときは5歳か6歳の頃で、どうにかコングがニューヨークに行かずに逃げ出してくれると祈った」。ルークには『ジェダイの帰還』ジャバの宮殿地下で巨大クリーチャーのランコアに掴み上げられる場面があるが、『キングコング』ヒロインの「フェイ・レイみたいになった」と興奮したそうだ。
興味深いことにマークは、『帝国の逆襲』の有名な「私がお前の父親だ(I am your father)」についても振り返っている。この衝撃的なセリフは、サプライズ性を守るために脚本には「ベンがお前の父を殺した」との偽セリフが書かれており、ルーカス、アーヴィン・カーシュナー監督、マーク・ハミル以外は誰も真実を知らなかったというエピソードが有名だ。
マークはこのシーンの撮影について、「そもそもベイダーは(マスクで)モゴモゴしてて聞き取れない。しかも巨大な扇風機もあったから、何も聞こえなかった。いつもベイダーのジェスチャーを見て演技をしてました」との苦労話を披露。音が聞こえない環境でマークはイヤホンを装着して無線の助けを借りていたそうだが、別の無線を拾ってしまう珍事もあったそうだ。ローリング・ストーンズの“Fool to Cry”が聴こえてきた時には思わず吹き出してしまったそうだが、監督に「笑わずに続けてくれ」と言われてから、なんとか演技を続行するようにしたという。
さらにマークは、「私がお前の父親だ」シーン撮影の数日後には、タブロイド誌の1面に「ギネス(=ベン・ケノービ役)、『スター・ウォーズ』2作目で悪役に」との見出しが踊っているのを見て「複雑な気持ちになった」と続ける。「間違っているって知っていたから。でもハリソンもキャリーも『おいおい、サプライズが台無しだぞ』って言ってて」。
最後にマークは、1997年の『特別篇』公開以来、『スター・ウォーズ』旧3部作を見返していないと明かした。『特別篇』は『新たなる希望』『帝国の逆襲』『ジェダイの帰還』にフィルム洗浄やCG修正、新規シーン追加などを施したバージョンのことで、劇場公開もされた。マークは改めて映画館に観に行くつもりはなかったが、息子たちは劇場鑑賞をせがんだ。「VHSで何度も観てるじゃないか」と言うと、息子たちに「そうだけど、大スクリーンで観たことはないから」と説得されたそうだ。
それ以来作品を見返していない理由は、自分の過去の演技を見ることが得意ではないためだ。「いつも欠点を見つけてしまうから。あぁ、もっとこうすれば良かったとか。今だったらもっと良く理解してやれるのにって」。
『スカイウォーカーの夜明け』(2019)以降ルーク・スカイウォーカー役の再演はないと常々話すマークだが、ここでも「過去には戻れない。もう終わったこと、手放さなくちゃ」と言って締めた。
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