マーベル&20世紀フォックス『デッドプール』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.2』登場キャラを交換していた
映画『デッドプール』の脚本を執筆したレット・リースが、同作の製作中、マーベルと20世紀フォックスがキャラクターを「交換」していたことを明かした。権利の都合でキャラクターを行き来させられない両社の“雪解け”を思わせるニュースだ。
映画化権をめぐる「厚い壁」
おなじみマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)は、マーベル・スタジオ主導で映画が製作されているシリーズである。しかしコミック『X-MEN』『ファンタスティック・フォー』は、映画化権を20世紀フォックスが保有しているため、マーベル・スタジオは映画版を製作できない。そればかりか両作のキャラクターはMCUに原則登場できないのである。
ちなみに、ソニー・ピクチャーズが映画化権を保有するスパイダーマンの場合、ソニーとマーベル・スタジオが提携することによって、スパイダーマンはMCUに参入することができた。しかしマーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長は、20世紀フォックスとの提携に慎重な姿勢を崩しておらず、両社間にはいまだ「厚い壁」が存在するという。しかし今回の「キャラクター交換」エピソードには、両社の“悪くない”関係が垣間見えはしないだろうか。
『デッドプール』設定変更、『GOTG』には登場権
キャラクター交換のきっかけは、『デッドプール』脚本家のレット・リース&ポール・ワーニックが登場キャラの設定を変更したがったことだった。
「ネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッドの能力を変更するために、フォックスは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』新作に登場するカート・ラッセル(イーゴ・ザ・リビングプラネット役)をマーベルに譲ったんだ」
『デッドプール』に登場したネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッドは、ブリアナ・ヒルデブランドが演じた、X-MENの訓練生である坊主頭の少女だ。爆発の特殊能力を持つキャラクターだったが、コミックではサイコキネシスを操るキャラクターである。
もともと『デッドプール』の脚本初稿には、銃と刀のアクションが多く含まれており、ウォーヘッドは登場すらしていなかった。しかしティム・ミラー監督が「もっとスーパーヒーロー・パワーが見たい」と意見したことで、脚本家ふたりは「名前がカッコいい」という理由からウォーヘッドの登場を決めたという。しかも「ウォーヘッド(=弾頭)」という名前に合わせて、彼女の能力を変更したいと考えたのだ。
しかしキャラクターの設定を大きく変更するにはマーベルの許可が必要だったのだろう。ウォーヘッドの設定を変更するかわりに、20世紀フォックスは、イーゴ・ザ・リビングプラネットをマーベル主導の映画に登場させることを認めたようだ。
イーゴ、「ファンタスティック・フォー」のキャラクターだった
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.2』に登場するイーゴ・ザ・リビングプラネットは、主人公であるピーター・クイル(クリス・プラット)の父親だ。あまりにキーパーソンすぎる設定のため、実は筆者も『ガーディアンズ~』のキャラだと信じて疑わなかったのだが、どうやらそうではなかったらしい。
Haha yes that’s true. I don’t think Fox knew what a big piece of the cosmic universe puzzle he was going to be (and I had no backup 😳). https://t.co/Z19dDwvKgV
— James Gunn (@JamesGunn) 2016年11月14日
イーゴがコミックに初登場したのは、1966年の「ソー」#132-133だった。しかしキャラクターとしてのオリジンは「ファンタスティック・フォー」で描かれたため、「ファンタスティック・フォー」のキャラクターとしてカウントされていたのである。したがってその映画化権も20世紀フォックスが保有していたのだ。
ちなみに『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.2』のジェームズ・ガン監督も、マーベルと20世紀フォックスが「ウォーヘッドの設定」と「イーゴの登場」を交換したことを認めている。
https://twitter.com/JamesGunn/status/798282197702569985
果たして、この交換は両社間の「厚い壁」を動かすきっかけとなるのだろうか? 『X-MEN』がリブートされるという噂もあることだし、このタイミングで念願のクロスオーバーが実現すると嬉しいのだが……。
映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.2』は2017年5月27日公開予定。
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