『マーベルズ』US初動興収、『キャプテン・マーベル』の約半分か ─ 3日間で7,500~8,000万ドルとの予測

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)最新作『マーベルズ』の米国におけるオープニング興行収入が、シリーズの前作にあたる『キャプテン・マーベル』(2019)の約半分となる可能性が出てきた。米The Hollywood Reporter、米Deadlineが報じている。
報道によると、『マーベルズ』は2023年11月10日の米国公開後、3日間で7,500万~8,000万ドルを稼ぎ出す見込み。『キャプテン・マーベル』の米国初動興収が1億5,343万ドルだったため、およそ半分の数字となる。もっとも、初動興収の予測値は各社によって幅があり、7,200万~8,800万ドルとの予想もあれば、9,000万ドル超えも可能と見ている専門家もいるのが現状だ。
過去のMCU作品で、米国の初動成績が7,500万~8,000万ドル前後となったのは、『アントマン&ワスプ』(2019)の7,581万ドルや『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2021)の7,538万ドル、また『ブラック・ウィドウ』(2021)の8,036万ドル。『シャン・チー』と『ブラック・ウィドウ』はコロナ禍の影響を受けた作品で、後者は劇場公開と有料配信が同日にスタートしていた。
『マーベルズ』の初動興収予測がいささか低いことには、複数の要因が考えられる。ひとつは、現在進行中の全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)によるストライキで、本作は夏のサンディエゴ・コミコンでのプロモーションが叶わなかったほか、今もなおブリー・ラーソンら俳優陣は宣伝活動に参加できていない。もうひとつは、ここ最近とりわけ懸念される「スーパーヒーロー疲れ」。MCUは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』(2023)では大ヒットを記録したものの、スーパーヒーロー映画自体の求心力にやや翳りが見られるのだ。
ここに絡んでくるのが、MCU独自のハイコンテクスト化である。『マーベルズ』はキャプテン・マーベル/キャロル・ダンヴァースだけでなく、ドラマ「ミズ・マーベル」(2022)からミズ・マーベル/カマラ・カーン(イマン・ヴェラーニ)、「ワンダヴィジョン」(2021)からモニカ・ランボー(テヨナ・パリス)が参戦するチームアップ作品だが、ミズ・マーベルとモニカ・ランボーが映画に登場するのは本作が初めて。MCUファンはスーパーヒーロー同士のタッグにこそ慣れているものの、2人は映画だけのファンには馴染みのない存在だ。
ストライキの影響を受けて、2023年の秋は話題作の公開が少ない状況にある。ワーナー・ブラザースは『デューン 砂の惑星PART2』の公開を2024年3月に延期したため、映画館業界の『マーベルズ』に対する期待は大きいのだ。しかし今後、ストライキが早期に終結すれば、『マーベルズ』のキャスト陣が公開ギリギリでプロモーションに合流できる可能性もある。そうなれば、おそらく初動興収にもなんらかの影響があるだろう。
ちなみに、11月に公開されたMCU作品で最も初動興収が低かったのは『エターナルズ』(2021)の7,129万ドル。これを下回る事態だけはなんとしても避けたいところだ。
映画『マーベルズ』は2023年11月10日(金)日米同時公開。
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Sources: The Hollywood Reporter, Deadline