トム・クルーズ、『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』スタントにコメディ映画の影響明かす

映画『ミッション:インポッシブル』シリーズの大きな見どころは、主人公イーサン・ハント役を演じるトム・クルーズが、“やりすぎ”とも思えるようなスタントに自ら挑むところだ。
最新作『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(2018)では高さ600メートルの崖でクライミングに挑み、自力でヘリコプターを操縦し、さらに上空約8,000メートルからの高速スカイダイビングをやってのけた。「自らの全てを尽くして、観客のためにありたい。人生全てを映画作りに捧げている」と豪語するトムは、今もなおエンターテインメントへの探究を続けているのだ。
離陸する飛行機の扉にしがみつくという危険なスタントに挑戦した前作『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』(2015)の公開時、トムは自身のスタントがコメディ映画に強い影響を受けていることを明かしている。意外な取り合わせにも思われるが、これらはすべては「観客のために」というスタンスの表れなのだった。

『ミッション:インポッシブル』シリーズの激しいスタントでトムが参考にしたのは、白黒映画、サイレント期のコメディ映画だった。ユーモアに富んだセリフや巧みなストーリーテリングによる笑いではなく、スター俳優が身体を張って笑いを生んでいた時代のコメディ映画である。
「僕は観客のみなさんに楽しんでほしい。そこで白黒映画に回帰するんです。バスター・キートンやチャーリー・チャップリン、彼らのルーツはヴォードヴィル(編注:米国では舞台での踊りや漫才、手品などの娯楽を指す)にあります。映画の父たちは実際にやっていたわけですよね。『キートン将軍』(1926)のバスター・キートンや、時計台でのハロルド・ロイド(編注:1923年『ロイドの要心無用』)、チャーリー・チャップリンを見てみると、子どものころ夢中になった身体性がそこにはあるんです。」
つまりトムのスタントはコメディ映画の、ひいては“俳優の身体が観客を楽しませる”ことへの信頼感にもとづいている。ただし白黒映画の時代とは異なり、現在の映画界はCGによってどんな場面でも作り出すことができてしまう。そんな状況にあって、それでも実際に演じるからこその迫力をスクリーンに滲み出させるため、スタントの規模がより大きく、より危険になっていくのは当然の帰結なのかもしれない。
ちなみに『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(2011)のブラッド・バード監督は、その制作当時から、トムが白黒サイレント映画を強く意識していたことを語っている。
「トムと初めて会った時、彼が映画史について話してくれたことには共感しました。二人ともそういう話が大好きだったんです。ハロルド・ロイドの名前を出したら、彼はハロルド・ロイドの映画をすべて知っていた。話が早かったですし、僕の言うことを彼はわかってくれましたね。」
シリーズ最新作、映画『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』は、2018年8月3日(金)より全国ロードショー。
『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』公式サイト:http://missionimpossible.jp/
Source: CB
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