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『モービウス』監督、「他の監督のほうが適していた」と吐露 ─ 「委員会と映画を作るのは、とても難しい」

モービウス
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米ソニー・ピクチャーズによるマーベル映画『モービウス』(2022)でメガホンを取ったダニエル・エスピノーサ監督が、興行・批評ともに不振に見舞われた本作での経験を振り返り、後悔とも取れる発言をしている。

ジャレッド・レト主演、原作コミックに登場する同名のダークヒーローを実写映画化した『モービウス』は公開当時、米レビューサイトRotten Tomatoesでの批評家スコアが16%と低評価を記録(本記事掲載時点で15%)。興行収入も当時のソニーズ・スパイダーマン・ユニバース(SSU)史上最低となった(のちに『マダム・ウェブ』が更新)。

Deadlineより、『モービウス』での経験に「苦しんだ」かどうかを聞かれたエスピノーサ監督は「はい」と率直に回答。「委員会(=スタジオ)を通して映画を作るのは、とても難しいと思います。最後には、他の監督の方が適していたのではないかと感じました」と苦い思いを明かしている。

『モービウス』公開後、エスピノーサ監督は作品に寄せられたネガティブな声について「あまり気にしすぎないようにしています」としながら、「自分がやってきたことに誇りを持っている」と語っていた。当時から心境に変化があったのだろう、「スタジオからは意見が多い人間として知られています」と自身を分析しながら、「もしかしたらそういう監督を彼らも求めていなかったのかもしれません」と消極的だ。

元々エスピノーサ監督は、ジョエル・キナマン主演のクライムサスペンス『イージーマネー』(2010)で注目を集めた人物。その後、デンゼル・ワシントン主演『デンジャラス・ラン』(2012)やジェイク・ギレンホール主演のSFホラー『ライフ』(2017)などで監督を務め、『モービウス』に挑んだ。

少年時代を一年間刑務所で過ごしたことのあるエスピノーサ監督が、フィルムメイカーを志したのは、「自分が知っていて、大抵の人が知らない現実についての物語を作る」ことだった。「それが『イージーマネー』でした」。

一方、『イージーマネー』以降のキャリアを振り返った監督は、「アメリカで12年過ごしてきましたが、自分がしていたことで映画を作りはじめた理由からゆっくりと離れることになっていきました」と内省。「映画を作る理由をどうにかして取り戻す必要があったんです」と語る。

そんな監督は、最新作『Madame Luna(原題)』の上映をイタリアのタオルミナ映画祭で迎えた。同作は、悪名高い人身売買業者としてのアイデンティティを隠すエリトリア難民の女性が、自由を求めるまでの道のりで自分が虐げてきた人々と同じ困難を経験していく物語。小規模チームでの製作スタイルに不安を覚えたというが、そこで新たな学びも得たようだ。

「戦いこそが己を定義します。アメリカの業界で難しいのは、戦いはほとんど必要なのに、戦っている自分を褒め、かつ何のために戦っているのかを忘れてしまわないようにすることです。」

『モービウス』を転機に、原点回帰とも言える新たな道を歩み出したエスピノーサ監督。ハリウッドへの復帰については、「やらないということはない」というが、「組織やシステムの中で仕事をしたがる監督を望むようなプロジェクトは敬遠するでしょう」と語っている。

Source:Deadline

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SawadyYOSHINORI SAWADA

THE RIVER編集部。宇宙、アウトドア、ダンスと多趣味ですが、一番はやはり映画。 "Old is New"という言葉の表すような新鮮且つ謙虚な姿勢を心構えに物書きをしています。 宜しくお願い致します。ご連絡はsawada@riverch.jpまで。

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