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【インタビュー】『マトリックス レザレクションズ』オープニングは「ノスタルジック」、ジェシカ・ヘンウィックの感動と挑戦

マトリックス レザレクションズ
©2021 WARNER BROS. ALL RIGHTS RESERVED

「真実を知りたいなら、ついてきて。ネオ」。

『マトリックス』シリーズ最新作『マトリックス レザレクションズ』では、いかにも物語の鍵を握っていそうなキャラクターが登場する。ブルーヘアーが目を引き、予告編ではキアヌ・リーブス演じるネオに冒頭の言葉をかけているバッグスだ。

バッグスを演じるのは、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015)や「ゲーム・オブ・スローンズ」(2011-2019)マーベルドラマ「Marvel アイアン・フィスト」(2017-2018)など、名だたる大作に出演してきたジェシカ・ヘンウィック。今後はライアン・ゴズリング&クリス・エヴァンス共演のアクション大作『The Gray Man(原題)』や、ダニエル・クレイグ主演『ナイブズ・アウト2(原題)』への出演を控えるなど、ハリウッドで飛ぶ鳥を落とす勢いの注目俳優だ。

ネオとトリニティー、モーフィアス、スミスと、本作では馴染みのあるキャラクターが揃ってカムバックする中、ジェシカ演じるバッグスは完全なる新キャラだ。いったいどれほどのポテンシャルを秘めているのか、本編を観ないことには全くの未知数だが、このたびTHE RIVERはジェシカ本人に単独インタビューを実施。予告編でも観られる変幻自在なアクションへの挑戦や、アジア系俳優として『マトリックス』に出演することなど、参加への思いを聞いた。

マトリックス レザレクションズ
©2021 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED.

一度断っていたオーディションの参加

── 本日はありがとうございます!いよいよ『マトリックス レザレクションズ』も公開ということで、楽しみです。おめでとうございます!

ありがとうございます!私もワクワクしています。

── 『スター・ウォーズ』では、半年間というなかなかハードなオーディションを経たそうですね。『マトリックス』でも大役を務められているようですが、どのようなプロセスで出演が決まったのでしょう?

(エージェントから)オーディションを受けてって言われたのが始まりです。でも最初は断ったんです。その時ちょうど、ハイキング旅行に出かけていて音信不通だったんですよ。カメラとか、インターネットも使えなくて。それから確か数週間後のことだったかな。旅行から帰ったら、オーディションがまだ受付中だったことを知って、しかもラナ(・ウォシャウスキー監督)が今も私に会いたいっていうんです。だからまずは、セルフテープを送りました。それからすぐにロサンゼルスに来るよう連絡を頂いたんです。

それからモーフィアス役を演じる俳優さんとの読み合わせ(ケミストリー・リード)に参加しました。2人の俳優さんと実演したと思うんですけど、そのうちの1人がヤーヤ(・アブドゥル=マティーン2世)でした。その週末にラナからお電話があって、役をいただいたんです。

── 『マトリックス』が公開された1999年当時は7歳でしたよね。幼少期から『スター・ウォーズ』や『ハリー・ポッター』『ロード・オブ・ザ・リング』といった作品の大ファンだったとお聞きしましたが、『マトリックス』もその1つだったのでしょうか?

1作目が公開された時はすごく幼かったので、映画館には観に行けませんでした。でも12歳くらいに観たと思います。だから公開から数年後にVHSテープで観たってことですね。すぐに私も夢中になりました。今観ても全然色あせていないですよね。単純に素晴らしい作品ですし、アイコニックなシーンもたくさんあって。私自身何度も観たってわけはないけれど、そんな私でさえすぐに思い浮かべられるんですから。それができる作品ってなかなかないですよ。普段、映画を観た後は物語を全部覚えていられないタイプなんですけど、『マトリックス』は鮮明に焼き付いています。

マトリックス レザレクションズ
©2021 WARNER BROS. ALL RIGHTS RESERVED

アジア系としての自覚、短期間のアクション

── 『レザレクションズ』では、脚本を読んで理解するのに時間はかかりましたか?

『マトリックス』3部作やラナ監督の他の作品を観れば分かると思いますが、彼女はシンプルなストーリーラインは好まない方で、物語はすごく考え込まれています。だから脚本は理解するために何度も読みこまなければいけませんでした。映画も同じで、観る度に気づきがあると思います。

── これまでの『マトリックス』シリーズでは、キーメーカー役のランドール・ダク・キムや、セラフ役のコリン・チョウといったアジア系の俳優が大きな活躍を見せてきました。本作に出演するにあたり、アジア系コミュニティを代表しているんだという思いはありましたか?

もちろん意識していました。ただ、仕事に持ち込まないようにはしましたね。私は役者で、監督たちの指示に従って演じなければいけなかったので。でも、常にコミュニティのことは考えていました。こういう経験がアジア・コミュニティに少ないことは理解していたので、チャンスを有効活用しようと心がけました。

── キーメーカーやセラフのように、バッグスは重要人物でしょうか?

彼女は重要ですね(笑)。全体を通して不可欠な存在でもあります。

 マトリックス レザレクションズ(ロングリード用)
©2021 WARNER BROS. ALL RIGHTS RESERVED

── バッグスは、トリニティを彷彿とさせるような身体能力、格闘スキルを持っています。マトリックス内での変幻自在な動きも最高にかっこいいですが、撮影にはかなりの肉体改造が必要だったのでは?

正直、撮影前にどれくらいトレーニングをしたか覚えていないんですよね。撮影を始めた時に便利だったのは、撮影場所が主にサンフランシスコだったので、ダウンタウンで毎日トレーニングできたことです。兵器係の方に訓練してもらいました。『マトリックス』でも醍醐味の銃の扱い方を教えてもらったんです。参加する前から、練習することになるだろうなと思っていましたけどね。それまで銃を握ったことがなかったので。銃を撃つ練習は入念にやりました。前かがみにならないようにするのが特に難しかったです。

── 『スター・ウォーズ』や「アイアン・フィスト」での経験はアクションに活きましたか?「アイアン・フィスト」では大怪我も負ったそうですが、『マトリックス』では無事に撮影を終えられましたか?

今回も怪我はしましたね。何が大変かって、トレーニングでは短い時間で学ばなければいけない上に、そこに全員が人生を捧げているんです。もちろんあの時(「アイアン・フィスト」)も鍛えていましたけど、2年のブランクがあったので身体はたるんでいました。今作では本当に短期間で鍛えなければいけなかったんです。だから怪我もしましたし、それでもベストは尽くさないといけませんから。

── 現場で何か困った時、ラナ監督はどのようにフォローしてくれましたか?

ラナは20年以上業界にいる方なので、自分が何を望んでいるのかは明確です。だから私も、普段演じる時はあまり縛られない方なんですが、今回は我を捨てて彼女に身を任せました。

「ノスタルジックな始まり」と新しい『マトリックス』

 マトリックス レザレクションズ(ロングリード用)
©2021 WARNER BROS. ALL RIGHTS RESERVED

── 予告編では、あなたがネオを導いているシーンがありますね。あなた自身にとっても思い入れのあるシーンだと思いますが、撮影中はいかがでしたか?

間違いなく最高のひとときでした。本当にサイコーで。ウサギのタトゥーとかも入念にチェックしたので、良い感じに仕上がって嬉しかったです。オリジナル版でも象徴的なシーンだったから、あのシーンをラナが私にやらせてくれるなんてラッキーでした(笑)。

── ネオを演じたキアヌとの共演はいかがでしたか?

キアヌは素敵な方です。キアヌは想像通りの方で、すごく親切で寛容なんです。すごく静かでシャイな方ですけれど。それでも現場では素敵な会話をしました。とても文化的な方で。芸術とか科学とか、歴史とか、すごくディープな話をしましたね。おしゃべりみたいな会話は1度もしなかったです(笑)。

── 映画はご覧になりましたか?(※取材は10月下旬に実施)

ちょうど先週観ましたよ。

── いかがでしたか?

まずは自分のシーンで叫びました。ずっと楽しみに待っていたので(笑)。すごく気に入っていますし、ファンの方々がどういう反応をされるのか気になります。

── エモーショナルな気持ちにはなりましたか?

キアヌとキャリー=アンが一緒のシーンを観た時は感動しました。ネオとトリニティーは美しいですし、オリジナル版で2人は純愛を貫いたので、また一緒になるなんてウルッときました。

── 最後に、この映画で一番期待できることは何でしょう?

すごくノスタルジックな始まりでしょうか。皆さんもきっと覚えているはずのシーンをはじめ、オリジナルへのオマージュもたくさんあります。でもすぐにそこから脱線して、新しい『マトリックス』に進んでいきます。この映画は特にメタ的で、“マトリックス(仮想空間)は中身がないんだ”ということが強く意識されています。たぶんラナもそうしたテーマを加えて、新しいものを提起しようとしたのでしょう。

『マトリックス レザレクションズ』は2021年12月17日(金)より全国公開。

Writer

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SawadyYOSHINORI SAWADA

THE RIVER編集部。宇宙、アウトドア、ダンスと多趣味ですが、一番はやはり映画。 "Old is New"という言葉の表すような新鮮且つ謙虚な姿勢を心構えに物書きをしています。 宜しくお願い致します。ご連絡はsawada@riverch.jpまで。

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