X-MEN『ニュー・ミュータンツ』はオリジナル版で米公開、監督のビジョンそのままに ─ 膨大な再撮影をマーベルが却下か

20世紀フォックスがウォルト・ディズニーとの事業統合前に手がけた、正真正銘最後の『X-MEN』映画となる『ニュー・ミュータンツ(原題:The New Mutants)』は、監督の構想したオリジナル版のままで米国公開を迎えることがわかった。
『X-MEN』シリーズ初の“青春ホラー”として製作された『ニュー・ミュータンツ』で脚本・監督を務めたのは、『きっと、星のせいじゃない。』(2014)のジョシュ・ブーン。本作は当初2018年春に米国公開予定だったが、完成直前にフォックス側が作品に難色を示したことが最初の公開延期に繋がっていた。ホラーとしての怖さを増すためにキャラクターを追加して全編の半分以上を撮り直す、監督とフォックスが対立しているなど、穏やかでない情報が飛び交っていたのである。
では、2020年4月に待望の米国公開を控え、新たな予告編も公開された本作は、結局のところ監督の意図したオリジナル版なのか、それともスタジオの意志に従った再撮影版なのか。この謎に、ブーン監督が自身のInstagramにて反応。「オリジナル版でなければ、この場で告知することはないでしょう」と記して、公開されるのが自身の意図通りに作られた映画であることを認めた。

そもそも本作の劇場公開がここまで遅れてしまった背景には、ディズニーとフォックスの事業統合がある。いまや『ニュー・ミュータンツ』もディズニー傘下の20世紀フォックスが発表する作品となり、マーベル・エンターテイメント/マーベル・スタジオの審査を経たものとなっているのだ。
しかし本作の場合、真相は不明ながら、マーベル側がオリジナル版での公開を求めたとの情報もある。『X-MEN』シリーズを手がけ、本作のプロデューサーを務めたサイモン・キンバーグに対して、ブーン監督の構想に基づくよう指示したというのだ。2019年に実施予定と伝えられた再撮影が行われたかどうかはとうとう分からないままだが、ディズニー/マーベル・スタジオ傘下で作業が重ねられたとの証言もあるため、作品になんらかの変更が加えられた可能性は高い。
なお原案コミックのアーティストであるビル・シンケビッチ氏は、『ニュー・ミュータンツ』が「PG-13指定の怖い映画」であることを強調し、「作品の雰囲気と謎、ジョシュの演出によるトーンがうまくいっている」と監督の手腕を絶賛。「キャストは見事だし、なぜか一人ずつグループを離れて死んでいくホラーのお約束にもとらわれていない。彼らはまとまったチームであり、それがホラーに裏打ちされた新しい解釈なんです」と記した。
Scary film at PG-13. The atmosphere, mystery, & tone of Josh’s direction makes it work. The cast is stellar, not horror tropes who split from the group 1 by 1 like idiots only to get offed. They’re a team united; forged by the horror, and that’s new take. Bravo Josh & Co. https://t.co/HDpCZNp9Ro
— Bill Sienkiewicz (@sinKEVitch) January 5, 2020
ちなみにブーン監督は、本作を手がけるにあたって、ホラー小説の巨匠スティーヴン・キングの作品や『カッコーの巣の上で』(1975)を参考にしたとのこと。恐ろしくも楽しい作品に仕上がっているであろう『X-MEN』の青春ホラー、日本上陸の報も期待したい。
映画『ニュー・ミュータンツ(原題:The New Mutants)』は2020年4月3日に米国公開予定。