【ネタバレ】『Mr.ノーバディ』クリストファー・ロイド爺も「子どもみたいに」ノリノリで撮影

この記事には、『Mr.ノーバディ』のネタバレが含まれています。

ロイド爺「せがれよ!」
本作でクリストファー・ロイドが演じるデビッド・マンセルについて説明しようと思ったら、それだけで随分なネタバレになってしまうだろう。主人公ハッチの父で元FBI捜査官のこの老人、自室ソファで一日中古い映画を見ているだけかと思いきや、やってきた殺し屋をショットガンで返り討ち(ちなみに、ここでデビッドの部屋に襲撃にきた殺し屋のひとりは、監督のイリヤ・ナイシュラーがカメオで演じている)。さらにクライマックスの工場戦では、孤軍奮闘の息子ハッチのもとにショットガンを持って現れ、「せがれよ!」と叫んだ。
実はデビッドの正体も、“ナメてはいけない爺さん”。この親にして、ハッチあり。全く衰えのない戦力を炸裂させるデビッドは、ハッチとその異母兄弟ハリーと最強トリオを結成し、押しかけたマフィアを次々と倒していった。

「クリストファー・ロイドがショットガンを持って“せがれよ!”って登場するところ、最高でしたよ!」THE RIVERがこの興奮を主演のボブ・オデンカークに伝えると、 オデンカークは「そうでしょう!」と満面の笑みを見せた。「クリストファー・ロイド初のアクション映画ですよ。ショットガンぶっ放しまくるシーンは、ご本人もノリノリでした。子どもみたいにはしゃいでましたよ」。
確かにクリストファー・ロイドが、『Mr.ノーバディ』のような本格的なアクション映画に出演するのは珍しい。それも、本人が自らアクションに参加しているのだから、なおのこと貴重だ。監督のイリヤ・ナイシュラーは、ロイドの出演が決定したときのことを「幸せでした」と振り返ってくれた。
「デビッド役を演じてほしい役者のリストがあって、ボブが“クリストファー・ロイドはどうだろう”と提案してきたんです。クリストファー・ロイドですよ。完璧ですよね。あとは、彼がカナダまで来てくれて、84歳のお年でアクションシーンを一緒にやってくれるかだけでした。彼はアメリカの宝ですし、生きる伝説ですし、人間としても素晴らしい方です。だから、アメリカの宝で生きる伝説で素晴らしい人間が参加してくださったぞ、ということで、めちゃくちゃ興奮しましたよ(笑)。」
イリヤ監督曰く、デビッド役に必要だった要素は「あたたかさ」と「人を驚かせられるところ」。「老いぼれて椅子に座っているだけかと思いきや、いきなり立ち上がってハチャメチャやるような人物です。思いもしないような方をキャスティングするのが好きで、クリストファー・ロイドがアクション映画に出ているなんて、見たことがありませんよね。あの方が、顔に血を浴びて敵をぶっ飛ばしているなんて」。

実はデビッド役にはクリストファー・ロイドの前にも別の役者を検討していたことがあったという。監督は名前こそ明かさなかったが、「もっとクラシックで、タフガイな方。昔こういったアクション映画に出ていた、ハリウッドの古い俳優さん」だったそうだ。もっとも、柔和な印象で、過激なアクションのイメージのないロイドが演じたからこそ、奇想天外な魅力が生まれたと言えるだろう。「ロイドに演っていただけて、他にはないエネルギーやカッコよさが生まれたと思います」と監督は敬服した。