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『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』出演が叶わなかった『007 美しき獲物たち』のキャストとは ─ 監督が明かした経緯

007/ノー・タイム・トゥ・ダイ
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ダニエル・クレイグ最後のジェームズ・ボンドを描いた『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』には、メガホンを取ったキャリー・フクナガ監督からオファーされるも、出演が叶わなかった俳優がいたという。おまけにその人物は、ロジャー・ムーアの卒業作として知られる『007 美しき獲物たち』(1985)で強烈な印象を残した、あの俳優だった……。THE RIVERとの取材でフクナガ監督が明かしている。

この事実を知る前、筆者は『007 美しき獲物たち』と偶然の再会を果たしていた。『ノー・タイム・トゥ・ダイ』の公開を約2週間後に控えた2021年9月中旬、日本最大級の某映画館を歩いていると、馴染みのある曲が聞こえてきたのだ。『美しき獲物たち』でデュラン・デュランが歌った主題歌『A View To A Kill』である。

新作映画の主題歌などが流れていることの多い映画館で聞いたということもあり、同曲はなかなか筆者の頭から離れなかった。これも相まって、帰宅後にGoogleで調べると、『美しき獲物たち』はキャリー・フクナガ監督が初めて出会った『007』映画とのこと。2週間後の『ノー・タイム・トゥ・ダイ』公開と機を同じくしてフクナガ監督への取材も控えていた筆者は、映画館でのエピソードを直接話してみることにした。「これは偶然ですか?それとも新作と何か繋がりがあるのでしょうか?」との問いかけに、監督が答えた内容はこうだ。

もしかしたら(繋がりは)あるかもしれませんね。うっすらとしたものが。実現させたかったことが1つだけあったんです。グレイス・ジョーンズを登場させたかったんですよ。

グレイス・ジョーンズという名にピンと来なかったとしても、メイ・デイと聞いたらどうだろうか。ジョーンズは『美しき獲物たち』で、クリストファー・ウォーケンが演じた悪役ゾリンの右腕かつ恋人としてボンドの前に立ちはだかったメイ・デイを演じた歴代ボンドガールなのだ。

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ドーピングを打たれ暴走した競争馬を身一つでなだめてしまうほどの力と格闘スキルを持つメイ・デイは、本編序盤からムーア演じるボンドとド派手な追跡劇を繰り広げたり、モデルだったジョーンズのスタイルが活かされた奇抜ファッションを着こなしたりと、本編で最も目を引くキャラクターであった。窮地のボンドを前にメイ・デイが取ったラストシーンでの行動は、往年のファンの記憶に今も強く残っているのではないだろうか。

情報を遡ってみると、実際にフクナガ監督は、ジョーンズ本人に『ノー・タイム・トゥ・ダイ』への出演を持ちかけていたらしい。2019年当時、フクナガ監督は「イアン・フレミングの別荘の前にある海で、グレイス・ジョーンズとシュノーケリング・トリップに出ていたんです。彼女に出演を持ちかけていたんですよ」と米Total Filmとの取材で語っていたのだ。

結局、『ノー・タイム・トゥ・ダイ』でジョーンズの出演は叶わなかったようだが、実現していればファンだけでなく、フクナガ監督にとっても特別な思い出になっていただろう。なにしろフクナガ監督は、『美しき獲物たち』ラストの舞台となった米西海岸サンフランシスコで生まれ育ち、同作と出会ったのだから。

なお、筆者は『美しき獲物たち』をめぐる上述のエピソードを、プロデューサーを務めるバーバラ・ブロッコリとマイケル・G・ウィルソンにも直接伝えてみた。すると、ブロッコリは「なんと。素敵なストーリーをありがとうございます」、ウィルソンは「それは、すごく興味深いですね」とそれぞれ答えてくれた。

続けて、『ノー・タイム・トゥ・ダイ』への影響を聞いてみる。すると、『美しき獲物たち』で脚本を務めたウィルソンは、「はっはっは」と声高らかに笑いながら、以下のように話してくれた。

「あの映画は良い作品でした。あの映画がキャリーにとって最初の『007』で嬉しいです。ボンドを知るにはもってこいの映画ですから。それが彼(キャリー)のなかに今も残っているんだと思います。彼は私たちにとっても素晴らしい監督でしたし、それに素晴らしいボンドのファンでもあります。」

007』の原作者イアン・フレミングが生前に執筆活動をしていた、ジャマイカの別荘、通称ゴールデンアイのこと。フレミングが他界して2年後の1976年、ゴールデンアイはレゲエの神様として知られるボブ・マーリーに売却されたが、のちに現在の所有者であるクリス・ブラックウェルに再売却されている。『ノー・タイム・トゥ・ダイ』の製作発表は、この「ゴールデンアイ」で行われた。

映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』は絶賛公開中。

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Source: Gamesrader+

Writer

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SawadyYOSHINORI SAWADA

THE RIVER編集部。宇宙、アウトドア、ダンスと多趣味ですが、一番はやはり映画。 "Old is New"という言葉の表すような新鮮且つ謙虚な姿勢を心構えに物書きをしています。 宜しくお願い致します。ご連絡はsawada@riverch.jpまで。

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