ニューヨーク州、映画館の営業再開をついに認可 ─ 厳格基準を要求、NY市は対象外も大きな前進

世界の映画興行の中核を担う、アメリカ・ニューヨーク州にていよいよ映画館の営業が再開される。2020年10月17日(米国時間)、アンドリュー・クオモ州知事が営業再開の認可について方針を発表した。
報道によると、ニューヨーク州で映画館の営業が再開されるのは10月23日から。新型コロナウイルスの感染率が過去2週間にわたって平均2%を下回っており、クラスターが発生していない群のみが対象となる(ニューヨーク市は除く)。上映1回あたりの最大収容人数は定員の25%、かつ50名以内と定められており、映画館ではマスクの着用が求められるほか、各劇場ではソーシャルディスタンスに配慮した座席設定や換気、空気清浄が必須。また、新たなルールの遵守を求めるスタッフの追加も必要になる。
ニューヨーク市が対象外になっていることも含め、感染対策の基準は厳しいが、長らく再開の認可を待っていた映画館側にとっては大きな前進だ。米Deadlineによると、ニューヨーク市郊外に位置するウエストチェスター群のほか、ロングアイランド島でも23日から映画館の営業が再開される見込み。州の発表を受けて、映画館側はスタッフへの連絡を始めているという。
全米劇場所有者協会のニューヨーク支部を統括するジョセフ・マッシャー氏は、代表のジョン・フィシアン氏らに言及しながら、営業再開への喜びを語った。いまだニューヨーク市内での営業再開について目処は立っていないが、「(ニューヨーク市が)世界の興行にとって大切であることをご理解いただいたので、なるべく早く認可をいただけることに希望を抱いています」とコメント。今後も行政側と連携し、マンハッタンでの早期再開にも期待を寄せた。
10月上旬には、アメリカ・イギリスの大手映画館チェーンCineworld/Regal Cinemasが再休業を決定。最大手チェーンであるAMC Theatresも、このままの経営状況が続けば年内にも現金が枯渇し、破産する可能性があると報じられた。これに先がけては、『ブラック・ウィドウ』や『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』が相次いで公開延期となり、『ソウルフル・ワールド』はDisney+での配信リリースが決定。スタジオが大作公開を渋る理由は、映画興行の中心を担うニューヨーク州の対応の遅さにあるとして、映画館業界からは批判の声も高まっていた。
ニューヨーク州で映画館が動き出すことから、ようやくアメリカの映画興行にも光が差すことになるか。映画館に客足が戻るためには大作映画の公開が欠かせない以上、まだ道筋は不透明だが、『ワンダーウーマン 1984』が予定通り12月25日に公開できるかどうかはひとつのポイントとなる。コロナ禍の情勢は日々変化しており、行政側が劇場の再休業を求める可能性もあるためだ。米Varietyにて、パティ・ジェンキンス監督は「今は誰もがすべてに確信を持てないと思う。コロナがどうなっていくのかは誰にもわかりませんから」とコメント。その一方、予定通りの公開は「可能だと思います」とも述べた。
Source: Variety(1, 2), Deadline