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【予告編考察】シャマラン『オールド』時間が異常加速するビーチの謎 ─ 一日で一生が終わる極限タイムスリラー

オールド
© 2021 Universal Studios. All Rights Reserved.

異常な速度で時間が進むバカンスには、想像を絶する真実が隠されていた……。

『シックス・センス』(1999)『スプリット』(2017)などのM・ナイト・シャマラン監督による待望の最新作、『オールド』が2021年8月27日(金)よりついに日本上陸だ。衝撃的な結末を潜ませて、幾度にわたり観客の度肝を抜いてきた鬼才が贈る新作映画のテーマは、異常な速度で進む“時間”。休暇を過ごすために訪れた美しいビーチで、時間が異常な速度で進み、身体が老いていく不可解な現象に見舞われ、その謎を解かなければ脱出できない恐怖を描くタイムスリラーだ。

本作の予告編が日本で公開されると、「異常な速度で時間が進むのはなぜ?」「謎の暗号のメモはなんだ?」「脱出しようとすると気絶するのか?」など、シャマラン監督が仕掛けた数々の謎に対する期待の声が続出していた。

この記事では、謎が謎を呼ぶ予告編を繰り返し観ながら、映像に散りばめられたヒントを拾い集め、この「一日で一生が終わる」不気味なビーチの謎について考察したい。

老いが急加速するビーチの謎

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© 2021 Universal Studios. All Rights Reserved.

太陽の光が燦々と降り注ぐ美しいビーチで、至福の時間を満喫する複数の家族たち。楽しいひと時を過ごしていた矢先、「ウチの子を見てません?」とひとりの母親が突然姿を消した息子を探す場面が映し出される。「ママ、ここにいるよ?」と姿を現した息子を見て、怪訝そうな表情を浮かべる母親。それもそのはず、なんと6歳だった息子は、少し目を離した隙に少年から青年へと急成長を遂げていたのだから。どうやらこのビーチでは時間が異常に加速しているようだ。

急激に成長を遂げたのは息子だけではなく、娘もだった。「パパ、なぜそんな目を?」。怯える子どもたち、戸惑いを隠せない両親。「あなた、シワが…」と母親が父親に投げかけていることから、子ども大人関係なく、ビーチに来た全ての人間に「老いの急加速」が起こるらしいことがわかる。

シャマラン監督といえば、『シックス・センス』『サイン』(2002)など家族を題材にした作品を数多く手掛けてきている。監督は以前、THE RIVERのインタビューでも「僕の全ての映画の根底と中心には夫婦や親子、兄弟・姉妹といった家族の要素が常に含まれていると思います」「家族の恐怖や不安定な状況を描くときは、身の周りで起こっていることが作品に反映されています」と認めていた

予告編では、大人たちよりも子どもたちの方が早く成長しているようにも見える描写が捉えられているが、これは監督自身も子どもを持つ親であるということもあって、“子どもの成長はあっという間”という親の視点が投影されているのかもしれない。

妊娠した少女、発作を起こす女性の謎

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© 2021 Universal Studios. All Rights Reserved.

「ママ、助けて!」と叫ぶ別の家族の娘もまた、この不可解な場所で異常な速度での成長を遂げたひとり。6歳になったばかりだという少女が急成長したことはほかの者と変わりないが、なぜかこの少女だけは妊娠までしている。成長前の時点で妊娠していたとは考えられないため、理由はほかにありそうだ。もしかしたらこのビーチでは、異常な速度で時間が進むというよりも、“その人間の人生が急激に進む”ということなのかもしれない。

この説が正しかった場合には、この少女の人生では、将来妊娠することになっていたのだろう。また予告編では、発作を起こしているような女性の姿も捉えられているが、これも未来に待ち受けている出来事ということなのだろうか。いずれにせよ、このままこのビーチに居続けたら、全員が一日以内に命尽き、死体も朽ち果ててしまう。果たして、この極限状況から脱出する方法はあるのだろうか。

ビーチからの脱出方法、謎の現象の仕組み

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© 2021 Universal Studios. All Rights Reserved.

「このビーチから逃げないと」。想像を絶する現象が起きていることに気付いた家族たちは、脱出する術を模索していく。もちろんそう簡単にことは運ばない。ひとりの男性が岩場の隙間を通ろうとしたところ、意識を失ってしまったのだ。また、崖を登ったり、海を泳いだりして脱出を試みる様子も捉えられているが、どうやら逃げ出そうとした者は必ず気絶してしまう仕組みになっているらしい。

そもそも、“異常に加速する時間”、“逃げようとすると意識を失う”というのは一体どういう理屈で起きているものなのだろうか。このビーチで起きている超常現象なのか、それとも何者かによって意図的に仕掛けられたものなのか。筆者は後者だと予想する。予告編の冒頭で主人公の家族は、自家用車ではなくホテルのシャトルバスらしきものでビーチに向かっており、スマートフォンなど先客たちの忘れ物らしきものが砂浜に大量に放置されていることからも、ここはホテル側が管理している場所であり、彼らが来客者たちをここまで案内している可能性が高い。この現象を引き起こしている方法は定かでないが、少なくともこの現象を認知していて、影で操っている人物がいるかもしれないというわけだ。

仮に何者かが仕組んだともなれば、ビーチを訪れた人々を監視する者がいてもおかくはないだろう。その人物として疑わしいのは、ケン・レオン扮する男。「俺は何も知らない!」と、アレックス・ウルフ演じる青年と激しい言い合いになっているからだ。しかし、これはミスリードの可能性もあり、異常すぎる状況に全員が理性を失い、疑い合っている可能性もありうる。さすがはシャマラン監督、予告編でも観る者を翻弄していく

メモに記された謎の暗号

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ここで、本作の概要に一度立ち返ってから考察したい。『オールド』のキャッチコピーに“その謎を解かなければ脱出できない”と記されていることからも、このビーチから抜け出す方法は必ず存在するはずだ。そこで脱出の鍵となると思われるのが、予告編の後半に登場した、謎の暗号が記されたメモである。

どこかの国・地域の言語ではなさそうだが、「メッセージだ」と暗号について言及されているため、何らかの意味を持つ文章となっていそうだ。この暗号には、単語あるいは文節を区切るような空白があったり、いくつか同じ記号が存在したりする。そこで考えられるのは、文字を別の文字や記号に置き換えて作る換字式暗号だ。

換字式暗号にはさまざまな種類が存在するが、本作で登場しているのは、ピッグペン暗号という図形や点を使ったものと類似している。フリーメイソンのメンバーたちが秘密の記録や通信する際に使用していたものとしても知られる暗号だ。しかし、『オールド』の暗号はさまざまな形式を組み合わせたものになっている可能性が高く、これだけでは意味を解読することはできない。

しかし気になるのは、誰がこの暗号を残したのかだ。先客者たちによる、脱出の助けとなる隠しメッセージなのか、それともこの状況を作り上げている悪趣味な者からの挑戦状なのか。どちらにせよ、この暗号を解かなければ脱出できないというわけである。

想像を絶する真実とは

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「我々は導かれたんだ」。そんな意味深な言葉を放っている男もいるが、これはこのビーチに案内された者たちが決して適当に選ばれたわけではないことを示唆しているのだろうか。シチュエーション・スリラーの代表格『SAW』シリーズのように、選ばれた者たちには何らかの共通点があるのかもしれない。予告編や概要から考えられる共通点は、この不可解な場所に案内されたゲストたちが、いずれも“家族”とともに訪れているということだ。アーロン・ピエール演じる男がひとりで来ているようにも見えるが、海に浮かぶ全裸死体の女性が彼の家族だった可能性もありえるだろう。

予告編の冒頭と終盤では、成長前と成長後の娘が「私たちは何があっても一緒だよ」と同じ言葉を発している。この言葉は本作の謎を解くキーワードなのかもしれない。このビーチに何者かが家族たちを招き、極限の状態を通して家族の絆を試しているとも考えられるだろう。そうだったならば、一体なぜそんなことをしているのか、そもそもどうやってこの現象を引き起こしているのか。その謎は深まるばかりだ。

そして予告の最後で、アレックス・ウルフ演じる青年と、トーマシン・マッケンジー演じる少女が怯えながら何かを見ている。一刻を争う事態のなか、彼らが目撃したものとは一体何なのか……?全ての謎は、劇場で明かされることだろう。シャマラン監督のことだから、ネタバレ厳禁な内容になっているはずだ。

映画『オールド』は、2021年8月27日(金)より全国ロードショー。

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Minami

THE RIVER編集部。「思わず誰かに話して足を運びたくなるような」「映像を見ているかのように読者が想像できるような」を基準に記事を執筆しています。映画のことばかり考えている“映画人間”です。どうぞ、宜しくお願い致します。

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