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ノーラン監督が原爆開発描く『オッペンハイマー』新予告編が公開 ─ 「これで人類に平和が」「このボタンを押せば世界が滅びる」

https://youtu.be/uYPbbksJxIg

クリストファー・ノーラン監督の最新作『オッペンハイマー(原題)』より、新たな予告編映像が届けられた。第二次世界大戦下で原子爆弾の開発・製造計画「マンハッタン計画」を主導した物理学者ロバート・オッペンハイマーの半生を描く物語。人類史上初の核実験「トリニティ実験」に至る緊張のドラマが描かれる。

ナチスドイツとの緊張感が最高潮に達する中、「もしもナチスが(核)爆弾を手にしたら、どういうことになるかは見えている」と警鐘を鳴らすオッペンハイマー(キリアン・マーフィー)。「完了するまで全員をここに詰める」という極秘施設では、当時までのアメリカの科学と発明の全てを集約させたという、とある研究が密かに進められていた。オッペンハイマーは家族も連れられて、ここに採用されていたのだ。

おそらくはトリニティ実験のため、関係者らはアメリカはニューメキシコ州の荒野に向かっている。「なぜそんなところに行くのか」と1人が冷笑すれば、計画の推進者レズリー・グローヴス・Jr.(マット・デイモン)は「なぜ、だと?世界で最も重要なことのためだ!」と凄まじい剣幕で答える。

グローヴスは「このボタンを押せば、世界が滅びる可能性があるということか」と恐れ慄く様子でオッペンハイマーに確認する。オッペンハイマーは「その可能性はゼロに近い」と返すのだが、「ゼロに近い?」と困惑の答えが戻ってくる。「理論上はそうなりますが」。「ゼロだったらいいのだが」。

この直後に人類史上最悪の惨劇を招いた原子爆弾の開発が、緊張感と期待をもって進められていく様子が描かれる。「世界はこの日を記憶することだろう」とオッペンハイマーが力強く語れば、アメリカ国旗を振って歓喜する群衆の様子が映し出される。「この仕事で、人類史上かつてない平和がもたらされるんだ」とのセリフとは対照的に、獣のような爆炎の映像が禍々しく差し込まれる。

そこでトーンは一変し、狼狽えるようなオッペンハイマーの姿に「お前は全てを破壊する力を与えてしまったのだ」との無力感に苛まれたようなボイスオーバー(声の主はケネス・ブラナーだが、役どころはまだ分かっていない)。映像はモノトーンに変調して、原子力委員長ルイス・ストローズ(ロバート・ダウニー・Jr.)は「大統領は次がどうなるかを知りたがっている」とオッペンハイマーに問う。「次、ですか?」。次に何が起こったかは歴史に明らかだが、本作はどのようにその影を描くか。

入り組んだ複雑なプロットと共に、エモーショナルで大胆なドラマを描く重厚な作品で知られるノーラン待望の最新作は、日本の観客にとっても緊張感高い原子爆弾の開発がテーマ。主演のキリアン・マーフィーは本作の脚本を史上最高の出来だと絶賛し、「心から驚き、感銘を受けると思う」と語っている。本作でノーランは、「歴史上最も重大な出来事」に観客を連れて行くと宣言している。

テーマ性も重大である一方、原爆実験シーンをCGなしの実写で撮影することや、『メメント』(2000)同様にカラーとモノクロで構造の変化を演出するなど、映像的な見どころも多い。IMAXカメラで撮影の本作『オッペンハイマー』は2023年7月21日米公開。日本公開情報が待たれる。

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。