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『LOGAN/ローガン』がアメコミ映画の歴史を変えた ― アカデミー賞『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』もノミネート

2018年1月23日(米国時間)、第90回アカデミー賞のノミネート作品が発表された。
かねてより有力候補と目されていた『シェイプ・オブ・ウォーター』(3月1日公開)や『スリー・ビルボード』(2月1日公開)などが複数部門でノミネートされる中、THE RIVERが注目しておきたいのは、やはりアメコミ映画がどのような奮戦を見せているかという点だ。

『LOGAN/ローガン』脚色賞ノミネート!

今回のアカデミー賞で注目すべきは、なんといっても『LOGAN/ローガン』(2017)が脚色賞でのノミネートを果たしたことだろう。アメコミ原作映画、ヒーロー映画としては、『ダークナイト』(2008)のヒース・レジャーが助演男優賞を受賞しているものの、主要の賞に登場したのは本作が初めて。これまでヒーロー映画は賞レースにおいて作品性を軽んじられるような傾向にあったが、いかにも“アメリカ映画”的なアプローチとヒーロー映画というジャンルの融合が実を結んだものといえるだろう。アメコミ映画の歴史を変えた一本として、長く記憶されることを祈るばかりである。

『LOGAN/ローガン』の脚本を手がけたのは、前作『ウルヴァリン:SAMURAI』(2013)のスコット・フランクとジェームズ・マンゴールド監督、そして『ブレードランナー 2049』(2017)を執筆したマイケル・グリーンの3名。英語版脚本は全編公開されているので、この機会にぜひチェックしておいてほしい。なお、本作をもってウルヴァリン役を卒業した主演のヒュー・ジャックマンは、アカデミー脚色賞ノミネートに喜びのコメントを発している。

『LOGAN/ローガン』が脚色賞を争うのは、すでに絶賛が集まっている『君の名前で僕を呼んで』(4月公開)、『ザ・ディザスター・アーティスト(原題:The Disaster Artist)』、『モリーズ・ゲーム』(5月公開)、そしてNetflix映画『マッドバウンド 哀しき友情』(2017)だ。

ちなみに本作でチャールズ・エグゼビア/プロフェッサーX役を卒業したパトリック・スチュワートは、その重厚な演技によって助演男優賞が期待されていたものの、残念ながらノミネートを逃す結果となってしまった。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』視覚効果賞へ

アカデミー賞においてヒーロー映画の登場が常連化していた視覚効果賞において、今回はマーベル・シネマティック・ユニバース作品より『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017)がノミネート。
2017年、米国ではMCU作品として『スパイダーマン:ホームカミング』や『マイティ・ソー/バトルロイヤル』も公開されているため、そこから『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』が選ばれたのは意外といえば意外だろうか。

視覚効果賞の対抗馬として登場しているのは、『ブレードランナー 2049』、『キングコング:髑髏島の巨神』、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』、『猿の惑星:聖戦記』。いずれ劣らぬ高い技術を見せつけた作品群だけに、どの作品が受賞してもまったくおかしくない状況だ。

なお、マーベル・コミックを原作とする『LOGAN/ローガン』や『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』がノミネートされている一方で、2017年のDCコミックス作品『ワンダーウーマン』、『ジャスティス・リーグ』、『レゴ(R)バットマン ザ・ムービー』は一切ノミネートされていない。特に『ワンダーウーマン』はパティ・ジェンキンス監督の演出に高い評価が寄せられていただけに、監督賞へのノミネートを逃したことは思わぬ展開ともいえそうだ。

第90回アカデミー賞の授賞式は、2018年3月4日(米国時間)に開催される。
『LOGAN/ローガン』や『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』がどんな成果を残せるか、アメコミファンもぜひご注目いただきたい。

Sources: http://comicbook.com/marvel/2018/01/23/logan-oscar-nomination/
https://www.cbr.com/hugh-jackman-reacts-logan-oscar-nomination/
http://comicbook.com/marvel/2018/01/23/guardians-of-the-galaxy-vol-2-oscar-nomination/
https://batman-news.com/2018/01/23/oscar-nominations-wonder-woman-justice-league/
©2017Twentieth Century Fox Film Corporation

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。