Menu
(0)

Search

2021年アカデミー賞の受賞予想&見どころ解説 ─ オスカー像の行方はいかに?

第93回 2021年 アカデミー賞 オスカー

『ミナリ』からアカデミー賞における歴史的快挙を成し遂げたのは、スティーヴン・ユアンだけのことではない。同作で、移民した韓国人一家と一緒に住むことになる祖母役を演じたユン・ヨジョンもまたそのひとりで、韓国出身の女優としてはじめて助演女優賞にノミネートされた。毒舌で破天荒な祖母でありながらも、孫のやんちゃな行動を寛容に受け入れたり、家族のために芹を植えたりと家族想いな一面ものぞかせている。そんな彼女の大胆さや優しさが、世界中の観客の心に寄り添っていた。

2020年には、『パラサイト 半地下の家族』が作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の4部門で受賞を果たしたものの、ソン・ガンホなど期待されていた韓国人俳優の演技部門での入選は残念ながらなかった。ユン・ヨジョンは、その翌年に韓国人女優としてノミネートを果たしたのである。英国アカデミー賞での受賞をはじめ、すでに世界中の映画賞を総なめにしているユン・ヨジョン。アカデミー賞では、今年も韓国が歴史を作るかもしれない。

そのほかの有力候補①:『続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』マリア・バカローヴァ

『続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』(2020)では、カザフスタンのジャーナリストであるボラットが、前作からの汚名を返上すべく、娘のトゥーターをアメリカ政府への貢ぎ物として捧げる任務に奔走する。そんな重要な任務の鍵を握る娘役を演じたのが、マリア・バカローヴァだ。新進気鋭の俳優でありながら、世界中の映画賞に輝いており、サシャ・バロン・コーエンと肩を並べて盛大に暴れている。

そのほかの有力候補②:『Mank/マンク』アマンダ・サイフリッド

『Mank/マンク』
Netflix映画『Mank/マンク』2020年12月4日(金)独占配信中

デヴィッド・フィンチャー監督最新作、不朽の名作『市民ケーン』(1941)の誕生秘話を描く『Mank/マンク』(2020)にて、マリオン・デイヴィスという実在の女優役を演じた、アマンダ・サイフリッド。20年以上の俳優人生にして、アカデミー賞初ノミネートだ。キャリア史上最高の演技とも称されるほどの怪演ぶりで、マリオン・デイヴィスの孤独と優しさを全身全霊で体現している。

助演男優賞予想&注目候補

予想:『Judas and the Black Messiah(原題)』ダニエル・カルーヤ

Daniel Kaluuya ダニエル・カルーヤ
Photo by Gage Skidmorehttps://commons.wikimedia.org/wiki/File:Daniel_Kaluuya_(35411573144).jpg

1960~70年代に黒人解放運動を牽引した政治組織、「ブラックパンサー党」の有力者の暗殺事件を描く伝記映画『Judas and the Black Messiah(原題)』。『クリード』『ブラックパンサー』シリーズのライアン・クーグラーが製作に入る本作にて、暗殺された有力者役を演じたのは、『ゲット・アウト』(2017)『ブラックパンサー』(2018)のダニエル・カルーヤだ。ゴールデングローブ賞や英国アカデミー賞をはじめ、世界中の映画賞を総なめにしており、また多様性を重んじる映画賞のため、受賞の可能性は高い。アカデミー賞としては、『ゲット・アウト』につづいてのノミネートとなる。初受賞となるかに注目だ。

そのほかの有力候補①:『シカゴ7裁判』サシャ・バロン・コーエン

シカゴ7裁判
Netflix映画『シカゴ7裁判』2020年10月16日 全世界独占配信|Niko Tavernise/NETFLIX © 2020

アーロン・ソーキンによる『シカゴ7裁判』(2020)は、平和的に行われるはずの抗議デモが、警察との激しい衝突に発展してしまい、その責任を問われ逮捕・起訴された7人による米国史上最も理不尽な裁判を描く作品だ。その7名のうちのひとりを演じたのが、サシャ・バロン・コーエン。 最初こそお茶目でふざける一面を見せるも、やがて深い知性の持ち主であることが明らかとなる、アビー・ホフマンという実在の社会活動家を見事に演じていた。

Writer

Minami
Minami

THE RIVER編集部。「思わず誰かに話して足を運びたくなるような」「映像を見ているかのように読者が想像できるような」を基準に記事を執筆しています。映画のことばかり考えている“映画人間”です。どうぞ、宜しくお願い致します。

Ranking

Daily

Weekly

Monthly