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『パイレーツ・オブ・カリビアン』リブート企画、ジョニー・デップ卒業で製作費9,000万ドル削減か ─ 主人公の交代、本当に可能?

Prod DB © Walt Disney Pictures 写真:ゼータ イメージ

ディズニーの人気海洋冒険映画、『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのリブート企画について興味深いデータが報じられた。

Forbesの記者ガイ・マーティン氏によると、シリーズの主人公ジャック・スパロウ役のジョニー・デップが、現在企画されているリブート版に出演しない場合、作品の製作費は一本あたり9,000万ドル削減される計算だという。

『パイレーツ・オブ・カリビアン』とジョニー・デップ

『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズはディズニー・パークのアトラクション「カリブの海賊」を原案とする実写映画で、2003~2017年にかけて計5作品が製作されて総興行収入は45億ドルを記録した。第6作の計画もあるとされていたが、2018年10月にリブート企画の存在が報じられ、直後にはジョニーのシリーズ卒業説も語られている。

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2018年12月、ウォルト・ディズニー・スタジオで実写映画を統括するショーン・ベイリー氏は、リブート版の脚本を『デッドプール』シリーズのレット・リース&ポール・ワーニックが執筆していることを認め、同時に「新しいエネルギーとバイタリティを取り入れたい」としてジョニーの卒業については否定しなかった

今回の情報が正しければ、もしリブート版『パイレーツ・オブ・カリビアン』にジョニーが出演しない場合、ディズニーは製作費を大幅に抑えることができる。第5作『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』(2017)の製作費は2億3,000万ドルなので、報道された9,000万ドルをここから差し引くと、第1作『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』(2003)の製作費1億4,000万ドルに等しくなるのだ。

ジャック・スパロウを主人公とする物語を広げていくことは、シリーズものの宿命として当然難易度が上がってくる。シリーズをフレッシュな状態に保ち、作品を新たな観客に開き続けるため、プロデューサー陣が「新しいエネルギーとバイタリティ」を求めるのは当然の流れだろう。しかもトップスターであるジョニー・デップの出演にかかる予算が高額となれば、キャスティングを一新するという決断も合理的だといえるのかもしれない。

しかしながら、『パイレーツ・オブ・カリビアン』はジャック・スパロウ/ジョニー・デップを軸とするシリーズだった。ジャック/ジョニーの魅力が観客を映画館に導いた側面は大きく、その存在が中心にあったことで世界観が維持された部分もある。またジョニーにとっても、本シリーズは自らを全世界の老若男女にアピールし、俳優としてさらなる高みへと上るに至った重要な映画だろう。

つまり乱暴な言い方を許していただくならば、『パイレーツ・オブ・カリビアン』の魅力の一部はジャック・スパロウ/ジョニー・デップが担ってきたもので、ある意味では「ジャック・スパロウこそが『パイレーツ・オブ・カリビアン』」とすら言えてしまうほど、その存在はシリーズにとって重要なものだったのだ。ジョニーが卒業し、新たな俳優を主人公とすることは、想像を絶するほど困難な作業ではないか。

いずれリブート版『パイレーツ・オブ・カリビアン』が実現するならば、成功のカギは主人公の魅力と、スクリーンでその魅力を体現できる俳優の存在にかかっている。ひとまずその重責は、脚本を執筆するレット&ポールに委ねられた……。

Source: Forbes

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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