ウィレム・デフォー、『哀れなるものたち』メイクは毎日「装着4時間、取外2時間」の大仕事【インタビュー】

アルパカの赤ちゃんを飼っているウィレム・デフォーは、映画『哀れなるものたち』で、マッド・サイエンティストのゴッドウィン・バクスターを演じている。フランケンシュタインの博士と怪物を一体にしたような男で、自身の身体を縫い合わせたおぞましい姿をしている。
この特殊メイクの装着や取り外しは、多大な時間を要する大仕事だったようだ。デフォーがTHE RIVERのインタビューで語った。

デフォーといえば、2019年には『永遠の門 ゴッホの見た未来』で来日。当時の取材では、「アーティストとしての喜びは何か」と尋ねられ、「物事の中に消失することです」と答えていた。
『哀れなるものたち』のバクスター役では時間をかけて特殊メイクを行った。そのプロセスは、自分の存在を「消失させる」準備運動として役立ったのではないか?そう尋ねるとデフォーは「重要なところを突いていますね」と反応し、次のように説明した。
「確かに、特殊メイクを施す間、長時間椅子に座っていると、自分自身が遠ざかっていき、別の何かが形作られていくのがわかる。その隙間に飛び込んで、別のあり方というのを考えられるようになるんです。それから、今回は身体にも補装具をつけていたので、身体的に違う動きもしました。つまり、心地よい状態や、慣れきったルーティンから自分を放り出すことで、別の誰かになりきる可能性が広がる。何かを宿す、あるいはフリをするという上で、非常に豊かで創造的なやり方です。キャラクターを宿したり、自分の習慣とは異なる環境の中にいるフリをするのです。」

メイクにかかった時間は、「取り付けるのに4時間くらい、取り外すのは2時間くらい」ということで、毎日6時間はメイク質の椅子に座っていたということだ。
「でも、毎日のよい準備になりましたよ」とデフォー。「早めに現場入りしてね。僕がメイクしていると、他のみんなが眠そうにコーヒーを飲みながらやって来て(笑)。こっちは準備万端です。」
デフォーと共に取材に答えてくれたダンカン・ウェダバーン役のマーク・ラファロの場合、本作で役の中に没入するのに役立ったのは衣装だったという。
「キャラクターの中に入り込むには、いろいろな道筋ややり方があります。今回の場合は、衣装によるところが大きかった。コルセットを着けたり、パッド入りの服を着たり、襟がとても硬かったり。ハイヒールの靴も履きました。本作は時代モノでもあります。だから、当時の身なりを再現しています。より直立的で、硬く、立ち方も違う。そういうところから、このキャラクターは形取られていきました。誰も見たことのないような、自分でも驚くようなことをするために“消失する”ということです。」

なおラファロは本作の演技で第96回アカデミー賞 助演男優賞にノミネート。デフォーとラファロがTHE RIVERに応えたインタビュー動画はこちら。
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映画『哀れなるものたち』は2024年1月26日、日本公開。
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