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新作映画は「配信で観たい」が70%、米調査で劇場への警戒感あらわに ─ いま観たいジャンルNo.1は「コメディ」

映画館
Photo by Eden, Janine and Jim https://www.flickr.com/photos/edenpictures/49674923947/

2020年3月、新型コロナウイルスの感染拡大が世界に大きなダメージをもたらしてから約2ヶ月。厳しい外出制限を市民に求めていた国々や都市でも、少しずつ制限を緩和する方向に進みつつある。一方で感染拡大の第二波を危惧する声も少なくない中、映画館や劇場に以前の客足は戻るのはいつになるのか。

米国のパフォーミング・アート専門誌Performance Researchと、調査会社Full Circle Research Co.が、約1,000人を対象に実施した5月中旬の調査では、「新作映画を映画館よりも自宅で観たい」と答えた人の割合は全体の70%に及んだという。米Varietyが調査結果を伝えている。

今回の調査では、新作映画が映画館とストリーミング配信の両方で同時に展開された場合、「配信を通じて自宅で観たい」と答えたのが70%、「映画館で観たい」と答えたのが13%、「わからない」と答えたのが17%。映画館に出かけることについては、今後「回数を減らす」と答えたのが37%「もう行かないかもしれない」と答えたのが10%だった。ちなみに、3月の時点では「回数を減らす」が28%、「行かないかも」が6%。制限の緩和にもかかわらず、むしろ警戒感が高まっていることがうかがえる。

4月末には、米ユニバーサル・ピクチャーズが新作映画の劇場公開とストリーミング配信を同時展開する可能性を示唆し、大手映画館チェーン・AMCをはじめとする映画館業界から猛反発を受けていた。この時、AMCは“もし実行するならユニバーサル作品は今後上映しない”との意向さえ示したのである。しかし今回の調査結果を踏まえるまでもなく、劇場公開と配信の同時展開が映画館に恐るべきダメージをもたらすことは確実だろう。

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一方、映画と観客の関係性については興味深いデータも得られている。“劇場再開後、映画館で観たいジャンルは?”との質問で最も高い数値を示したのは「コメディ」の43%。さらに「シリアスなドラマ作品」が35%「スーパーヒーロー・アクション」が35%と続いた。そのほか、「わからない/気にしない」は23%、「家族向けアニメ映画」は23%、「家族向け実写映画は」22%、「ホラー」は19%、「非スーパーヒーロー・アクション」は17%、「ドキュメンタリー」は15%という結果になっている。

コメディやドラマ作品に人々の関心が集まったのは、近年のアメリカでは珍しい結果だ。特にここ数年、ハリウッドではヒーロー映画やアクション映画が優れた興行成績を示す傾向にあり、大手スタジオは中規模予算のコメディ&ドラマに以前ほど力を注がなくなっていたのである。その結果、コメディ&ドラマはストリーミングなどに活路を見出しつつもあった。今回の調査は一例にすぎないが、もし観客の好みの潮目が変わるとすれば、業界には思わぬ影響が生じることにもなるだろう。

もちろん、コロナ禍の影響は舞台やコンサートなどにも生じている。「しばらくの間、大規模イベントに参加するのは怖い」と答えたのが全体の60%、政府や専門機関が“安全”との指針を示しても「参加を減らす」と答えた割合は52%だ。「室内コンサートへの参加を減らす」は39%、「テーマパークにはあまり行かない」が36%、「舞台をあまり観に行かない」は33%。ブロードウェイの劇場に限っての調査では、再び足を運ぶまでに「数ヶ月かかる」が51%、「すぐ行く/数週間以内」が33%、「もう行かないかもしれない」が16%という結果となっている。

映画館にせよ劇場にせよ、「もう行かないかもしれない」の割合が思いのほか大きいことには一観客として打ちのめされるが、今回の調査が2020年5月中旬、ロックダウン(都市封鎖)の影響が色濃いなかで行われたものであることを再度強調しておこう。新型コロナウイルスをめぐる状況がさらに好転し、医療面にもポジティブな変化が生じてくれば、イベントへの参加にネガティブな印象を抱く人々の意識も前向きになってくることは十分に考えられる。しかしながら、その道のりは決して短くないだろう。それまでの間、文化や業界の存続には、それを願う人々の積極的かつ多角的な取り組みが求められる。その意味では、ファンの全員が文化を守る当事者だと言えそうだ。

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Source: Variety

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

THE RIVER編集部。「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。劇場用プログラムや各種媒体への寄稿なども喜んで承りますので、お気軽にお尋ねください。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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