『ランボー』シリーズ全作あらすじと解説 ─ 『ランボー ラスト・ブラッド』予習復習に

シルベスター・スタローンの代表的シリーズ『ランボー』最新作にして完結作『ランボー ラスト・ブラッド』が日本公開を迎えた。
『ランボー』と聞くと、なんとなくシリーズ作がいっぱいあって、ヘヴィで、これから復習し直すのは大変……と思われる方も多いのでは。
実は『ランボー』は、完結作『ラスト・ブラッド』までに4本しか存在しておらず、全作90〜100分程度のコンパクトなシリーズなのだ。第1作『ランボー』から、第4作『ランボー/最後の戦場』までぶっ続けで観ても、トータル383分。昼頃に観始めれば、夕食の時間頃には全て観終えることができるボリュームだ。
この記事では、シリーズ全作『ランボー』『ランボー/怒りの脱出』『ランボー3/怒りのアフガン』『ランボー/最後の戦場』を、効率よく文字で復習。さっとまとめた「あらすじ」紹介と解説で、これまでの『ランボー』の戦いを振り返ろう。“無駄に生きるか、何かのために死ぬか、お前が決めろ!”
目次
シリーズ第1作『ランボー』(1982)
あらすじ
ベトナム帰還兵のランボーはかつての戦友を訪ね、ワシントン州の田舎町を訪れる。再会を期待したランボーだが、その戦友はベトナムで浴びた枯葉剤の後遺症で既に亡くなっていた。
拠り所を失ったランボーが街にやってくると、保安官のティーズルに目をつけられる。ティーズルはランボーが危険人物だと勝手に決めつけ、パトカーに乗せて街から追い出す。それでも街に戻ろうとするランボーを、ティーズルは理不尽にも「浮浪罪」「公務執行妨害」で逮捕してしまう。
ランボーは取調室で高圧的な取り調べを受け、ベトナム時代に苦しめられた拷問をフラッシュバックしてしまう。堪らずナイフを奪い返して山中へ逃走するランボー。保安官らとの攻防戦で死者も発生し、ランボー捕獲戦は激しさを増す。
やがて州兵まで出動する騒ぎとなる中、史上最強の兵士ランボーは実戦仕込みのスキルで次々と州兵を倒していく。そこにベトナム時代のランボーの上官、サミュエル・トラウトマン大佐が派遣され、無線でランボー説得を試みるが……。
解説
『ランボー』と聞くと、未見の方はシルベスター・スタローンが戦場で無双するぶっ放し系の大味アクション映画と想像するかもしれない。しかし、1982年公開のシリーズ第1作目は、ベトナム帰還兵のジョン・ランボーがアメリカの山地や市街地を舞台に保安官や州兵に追われて戦う物語だ。
映画の根底にあるのは、当時のアメリカにおけるベトナム帰還兵への非難と、そのやり場のなさへの風刺。ベトナム戦争では多くのアメリカ兵が命をかけて戦ったにも関わらず、この戦いで政治的勝利を得られなかったことから、国に戻ってきた帰還兵への風当たりは強かった。PTSD(心的外傷後ストレス障害)を患った帰還兵も多く、『ランボー』にもこうした描写は見られる。ひたすらに敵を倒しまくる痛快アクション映画というばかりでなく、居場所も尊厳も失ったベトナム帰還兵の哀しみや、彼らに対する当時の人々の反発を描いた社会派作品でもあるのだ。戦場で数々の修羅場をくぐり抜けた屈強なランボーが、腹の出た田舎の保安官にナメられて不要不急の戦いを強いられる虚しさが印象的。ランボーが感情をむき出しにして思いを打ち明けるシーンは名場面として名高く、アメリカにおけるベトナム戦争の「後遺症」がどのようなものだったかを表している。
1982年の公開当時、スタローンは36歳。既に3作目まで登場していた『ロッキー』シリーズに続く当たり役となった。公開後は3週にわたって興行収入ランキング1位を獲得したが、米国内興行収入は同年公開のヒット作『ロッキー3』の3分の1程度に留まった。米映画レビューサイトRotten Tomatoesの批評家スコアは85%の高評価で、これはシリーズの中でも最高値となっている。
原作はディヴィッド・マレル『一人だけの軍隊』。戦場で受けた精神的な傷に苦しみ、ダイナマイト自殺を図った後にトラウトマンに射殺されるという、映画よりもさらにダークでシリアスなラストとなっている。
作中での死者数は1人。
シリーズ第2作『ランボー/怒りの脱出』(1985)
あらすじ
作業場での肉体労働者として働いていたランボーのもとに、前作に続いて登場のトラウトマン大佐が極東での極秘作戦への参加の提案に訪れる。かつてランボーが脱走したベトナムの捕虜収容所に潜入し、捕虜の写真を撮ってくるという任務だ。