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アイアンマン役ロバート・ダウニー・Jr.、タランティーノの「マーベル俳優はスターじゃない」批判に意見 ─ 「何かのせいにするのではなく、自分が変わろうよ」

ロバート・ダウニー・Jr.
Photo by Gage Skidmore https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/14802403202/

映画監督クエンティン・タランティーノがマーベル映画について、「キャラクターが有名なだけであり、俳優らは映画スターではない」との趣旨で批判した件について、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の立役者であるロバート・ダウニー・Jr.が反対意見を述べている。

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ロバートはMCUの第1作である『アイアンマン』(2008)より11年にわたってトニー・スターク役を演じた。同作以前は自身の薬物問題でキャリアの落ち目にあったが、アイアンマン役をきっかけに俳優としての再評価を得ており、今ではハリウッドで最も敬われる俳優の1人となっている。ロバートのキャリアそのものが、ある意味ではタランティーノの意見への反証になっている部分もある。

そんなロバートは米Deadlineで、タランティーノの批判への私見を求められ、次のようにじっくり語っている。

「こういった問題への意見は、私たちのことをよく表していると思います。理念や個性よりもIP(知的財産権)が優先されるこの時代、この状況に、私たちは知らず知らずのうちに加担しているのだと思います。

しかし、それは諸刃の剣。IPというのは、それを表現する人間の才能の良し悪しによるもの。たとえ作家や国宝級の脚本家や監督が手がけた素晴らしいIPがあっても、それを正しく演じるアーティストがいなければ、本来どれだけ良い作品になり得たのかはわからないのです。

本質的に見れば、タランティーノ批判へのロバートからの反論は以上のところまでで完結する。ここからロバートは、細分化された現代社会における批判や対立の不毛さを、自身の言葉で表現している。

「クリエイティブ的に、自分自身(内輪)と争うのは時間の無駄でしょう。今の時代は、全てがより断片的になっていて、だからこういう二分化が生じる。一方的に石を投げて……。私も過去に、自分の誠実さを否定するようなことを言われたことがあります。そういう時、私はこう反応します。“乗り越えよう、みんな共同体じゃないか。いろいろな余地があっていいじゃないか”と。」

ここでロバートは、『トップガン マーヴェリック』と『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』という2022年最大のブロックバスター映画の名を挙げ、この2作について「ありがたい存在」と話している。「『Armageddon Time(原題)』のような映画のためには、こう言った大作が必要なのです」。

ロバートが例に挙げた『Armageddon Time(原題)』とはブラジルとアメリカ製作の2022年の映画。監督・脚本は『リトル・オデッサ』(1994)などのジェームズ・グレイ。アン・ハサウェイやアンソニー・ホプキンスら出演のドラマ作品だ。

業界や市場が大規模作品で活気づけられることは、同作のような小中規模の作品のためにもなるとするロバート。「エンターテインメントのトリクルダウン理論を話しているわけではありません」と続けているが、トリクルダウンとはまさに富裕層が潤うことで、低所得者まで利益が再分配されるという理論のことだ。

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。