『ロケットマン』同性愛のシーンがロシアで「同性愛宣伝禁止法」のためカット、エルトン・ジョンら抗議文 ─ 「愛が容認されない、そんな残酷なことがあって良いのか」

映画『ロケットマン』が一部地域で一波乱だ。エルトン・ジョンの激しい人生を包み隠さず描く本作では、劇中にドラッグ使用や同性愛のセックスシーンが存在。ロシアでは現地法に基づき、これらのシーンおよそ5分間がカットされるという。
これに対し、エルトン・ジョンやパラマウント・ピクチャーズ、および同作の製作プロダクションは現地時間の2019年5月31日、連名で抗議文を発表。「私達は、ロシア市場における現地法に準拠した『ロケットマン』の検閲に、出来うる限り強く反対します。本日時点まで知らされていない動きでした」と異議を訴えている。抗議文は次のように続く。
「パラマウント・ピクチャーズは、エルトン・ジョンの並外れた人生を、包み隠さず正しく表現した映画を創るための勇敢で大胆なパートナーでした。現地配給が特定のシーンをカットし、本来の映画の意図を観る機会を拒絶したことは、未だ残る世界の分断が生んだ悲しい影響です。2人の間の愛が受け入れられないなんて、そんな残酷なことがあって良いのでしょうか。私達は架け橋となって対話を生み、全ての人々が世界中で平等に扱われるように障壁がなくなるよう邁進し続けます。」
ロシアではかつて同性愛が違法と定められていて、今なおタブー視は続いており、「非伝統的な性的関係」を未成年に宣伝することを禁じる「同性愛宣伝禁止法」が存在。『ロケットマン』でのシーンカットも同法に基づくものである。ロシア南部のチェチェンでは現在も同性愛者への弾圧が横行しており、2017年と2018年には警察が大勢の男性同性愛者を拉致・拘束、拷問によって死者も出ていた。
タロン・エジャントン(エガートン)がエルトン・ジョンの名曲の数々を吹替なしで歌い上げながら演じる映画『ロケットマン』は、2019年5月31日に米公開を迎え、ロシアでは6月6日公開予定。日本では8月23日に公開される。
『ロケットマン』公式サイト:https://rocketman.jp/
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