『ローグ・ワン』再撮影パート監督、「酷かった」初めて振り返る ─ 「スター・ウォーズに興味は無い」

2016年12月公開の映画ローグ・ワンスター・ウォーズ・ストーリー』は、その制作過程において不穏な動きにやきもきされた記憶をお持ちのファンも多いだろう。『スター・ウォーズ』シリーズ初のアナザー・ストーリー(スピンオフ)作品として制作過程から多くの期待と関心を集めていた同作は、公開年の夏になって「全編の半分を撮り直す」という恐るべき自体に陥った。

ここで火消しに奔走したのが、脚本を手がけたトニー・ギルロイだ。劇場公開版の多くを占めた再撮影パートを主導したトニーは、報道によれば少なくとも週20万ドル、合計500万ドル以上のギャラを受け取っており、「ゴーストライター」ならぬ「ゴーストディレクター」として『ローグ・ワン』に偉大な貢献を残している。


果たしてトニー・ギルロイが『ローグ・ワン』再撮影に参加した当時、制作はどのような状況だったのか。この話題についてこれまで沈黙を貫いていたトニーが、同作公開から16ヶ月が経った今、始めて口を開いた。The Hollywood Reporterが伝えている。

「それはもう酷い、酷い状況でした」

トニーが『ローグ・ワン』撮影主導に参加した時、既にギャレス・エドワーズによるカットが出来上がっていた。参加当時の現場を、トニーは 「混乱していて、散らかっていた」と表現している。「ドツボにはまっていて、それはもう酷い、酷い状況でした。とにかく前進するのに必死でしたよ。」

『ローグ・ワン』公開当時のギャレス・エドワーズ監督のインタビューを振り返ると、「物事を”制御不能”に任せた」かったゆえ、多数の映像素材を調達、様々な組み合わせや可能性を用意したという。ゆえに意思決定は煩雑を極め、編集のコリン・グーディーは「あまりにもいろんなバージョンが出来上がって、状況がつかみづらくなっていた」と語っていた

こうした混乱の調停人を務めたのがトニーだった。「いざ参加したら、解決方法は至ってシンプルでした」と言うトニーは、「“この映画には野郎どもがいて、全員死ぬってことでしょ”ってね。犠牲を描く映画なわけですよ」と振り返る。現場の混沌から一歩引いたトニーの目線から、冷静な判断と指示が下されたものと想像できる。

 

では、何故トニーは冷静な視点から『ローグ・ワン』再撮影を監督し、映画を無事完成させるに至ることができたのか。それは、『スター・ウォーズ』に全く興味がないというトニーのあっけらかんとした感覚が成せる技だったようだ。

「僕は今まで『スター・ウォーズ』に興味を持ったことがなかったから、畏敬の念みたいなものはありませんでした。恐くもありませんでした。」

興味深いことに、トニーが一部指揮を行った『ローグ・ワン』こそ、往年のファンから「これこそ観たかった『スター・ウォーズ』だ」と高評価を得ている。この評判を受け、もう一度『スター・ウォーズ』映画に取り組んでみたいという意欲はあるのだろうか。ここでもトニーは「別にそそられないです」とあっさり。

『ローグ・ワン』は、色んな意味でスター・ウォーズではないと思います。僕にとってはバトル・オブ・ブリテン(第二次世界大戦におけるドイツ空軍とイギリス空軍の戦い)の映画ですね。」

『ローグ・ワン』はその後、無事に世界公開を迎え、シリーズ史上3位の興行収入を上げる評判作となった。こと『スター・ウォーズ』において、挑戦的なクリエイティビティよりもむしろ淡々とした職人芸こそが傑作を生み出すカギとなるのであれば、「創作上の相違」によって降板した監督に変わってロン・ハワードがスムーズに作り出した『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』にも期待を高められるかもしれない。

Source:THR
Eyecatch Image:Charles Barrett

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THE RIVER編集長。ライター、メディアの運営や映画などのプロモーション企画を行っています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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