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『RRR』の「ナートゥ・ナートゥ」、衣装が砂埃まみれになるため毎日撮影後に手洗いしていた ─ 「悪夢でした」と監督

RRR
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本国インドをはじめ、世界中で記録的ヒットを続けているミュージカルアクション大作『RRR』。2023年(第95回)アカデミー賞歌曲賞にもノミネートされた挿入歌「Naatu Naatu(ナートゥ・ナートゥ)」と本楽曲が使用されているダンスシーンについて、S・S・ラージャマウリ監督本人が米Vanity Fairにて詳しく解説している。

『RRR』はイギリス植民地時代のインドを舞台に、英国軍にさらわれた幼い少女を救うため、ビーム(N・T・ラーマ・ラオ・Jr.)とラーマ(ラーム・チャラン)という英雄2人が立ち上がり、2人の出会いと壮大な戦いを描く。劇中のハイライトの1つ、2人が「ナートゥ・ナートゥ」を歌い踊るシーケンスは、撮影時のインド国内がモンスーンの時期だったこともあり、ウクライナのキーフにある大統領府にて撮影されている。宮殿のサイズ感や色合い、ダンサーが並ぶ地面のサイズ感も何もかもがばっちりで、ウクライナのチームの尽力に感激したと語っている。

撮影監督のK・K・センティル・クマール氏がどのようなトーンで撮影するか、あらかじめ例を数点示してくれていたため、照明や、色調についてはいじらずにいたラージャマウリ監督。しかしプロダクションデザイナーが、小道具から衣装や花の色まで、数多くのアイデアを出してくれたことで、より「植民地時代のインドらしく」見えるシーンに仕上がったという

「彼はキーフ中を駆け巡って小道具を探してくれました。アートディレクターと一緒に『上の方の花はこの色、下の方はこの色にしよう』と完璧に仕上げてくれたんです。監督の仕事は、俳優陣が演技してくれているか、正しく踊れているかを見ることですから、そこまで細かい部分を注視できていませんでしたね」と改めてスタッフに感謝している。

また、この一連のシーンで白眉となるのが、ラーマとビームの側に女性陣、敵対するイギリス人男性ジェイクの側に男性陣と二手に分かれるパートだ。石畳や芝生から移動して地面の上で全員が踊り回る姿が圧巻だが、「ここから衣装チームにとって悪夢が始まりました」と監督は苦笑いする。

「砂埃が舞う様子にしたかったのですが、衣装は繊細な素材でできていますから、『ナートゥ・ナートゥ』のステップを踏むと、衣装も砂埃まみれになってしまいました。衣装が痛んで、ダメになってしまうので、衣装チームは何着もドレスをこしらえました。撮影が終わるたびに翌日までに洗わなくてはいけなかったのですが、デリケートに扱わなくてはいけないので洗濯機に放り込むわけにはいかず、毎日手洗いしてもらったのです。」

華やかなドレス姿の女性も、タキシードの男性も砂埃がいっぱい立ち込める中で目一杯に踊るギャップが面白さでもあるが、スタッフ陣の苦労は計り知れない。まさにチーム一丸で臨んだ一大シーンだったのだろう。

「ナートゥ・ナートゥ」は2023年3月13日(現地時間)に開催される第95回アカデミー賞授賞式で、インド出身でシンガー・ソングライターのラーフル・シプリガンジと、プレイバックシンガー・音楽監督のカーラ・バイラヴァがパフォーマンスする予定。監督をはじめとする製作陣のこだわりが詰まったあのシーンが、どこまでステージで再現されるのか期待しよう。

Source:YouTube

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Yuka ShingaiYuka Shingai

携帯向け音楽配信事業にて社内SE、マーケティング業務に従事した後、妊娠・出産を機にフリーライターに転向。 映画とお酒と化粧品が好き。日課のオンライン英会話でもしょっちゅう映画の話をしています。