世界興収No.1『アベンジャーズ/エンドゲーム』ルッソ監督、配信リリースのメリットを語る ─ 「映画館よりも配信がふさわしい物語はある」

『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)のアンソニー&ジョー・ルッソ監督は、全世界興行収入No.1という歴史的快挙を成し遂げながら、同時にストリーミングサービスへの進出にも極めて積極的なフィルムメーカーである。トム・ホランド主演の監督最新作『チェリー(原題:Cherry)』はApple TV+で、プロデュースを務めた『タイラー・レイク ―命の奪還-』(2020)『Mosul(原題)』はNetflixでの配信に踏み切り、Amazon Studiosとは大作ドラマシリーズ「Citadel(原題)」を準備中なのだ。
ルッソ兄弟の思惑とは別にして、2020年のハリウッドは新型コロナウイルスの影響を真正面から受け、ストリーミングへの切り替えを余儀なくされた。スタジオ各社は劇場公開を断念した作品を配信でリリースするなど、それぞれに対応を迫られている。米Comicbook.comにて、ジョー監督は“配信リリース”という形態がもつ希望と可能性を語っている。
「世界は混乱し、急速に変化していて、その変化をパンデミックがさらに加速させています。そして僕が思うに、劇場公開よりもデジタル配信のほうがふさわしい物語というものは確かにある。(コロナ禍において)それがどういう物語なのかがだんだん分かってきているのです。」
事実、ルッソ兄弟は、もともとは劇場公開予定と目されていた『チェリー』を、検討の末にApple TV+に販売している。コロナ禍が収まるのを待つよりも配信リリースの方が“ふさわしい”と判断した結果だろう。またジョー監督は、劇場公開にはない“配信ならではのメリット”についても言及している。
「(ストリーミングサービスでは)アカウントをシェアする人たちもいるし、映画1本ぶんのコストで月に10本観ることもできる。(観客は)映画館に行く余裕がある人ばかりではありませんから、より幅広い客層に届けられるわけです。それに、最初の週末の成績で映画を決めつけるような不適切な基準もない。映画にしても、最初の週末で成功するために作られるものばかりではありませんからね。作品のストーリーや受け止められ方を損ないかねないとしたら、それは最良の発表方法ではないということかもしれません。」
そんな中、2020年を締めくくる大作映画『ワンダーウーマン 1984』はコロナ禍に対応する新たな取り組みに打って出る。同作は米国において2020年12月25日に劇場公開され、同日よりHBO Maxでも配信されるのだ(日本では12月18日に劇場公開)。ジョー監督もこの戦略には「未来がどのようなものになるのか、そのサンプルになると思います」と注目する。
Source: Comicbook.com