推しと冒険『ラスト・アクション・ヒーロー』はいいぞ ─ シュワちゃんも「過小評価されてる」と言っている

『コマンドー』『プレデター』そして『ターミネーター』といった1980〜1990年代アクション映画のスター、アーノルド・シュワルツェネッガー。出演有名作は数多くあるが、1993年の『ラスト・アクション・ヒーロー』にも注目したい。
主人公は、シュワちゃんのことが大好きな映画ファンの少年、ダニー。特にシュワちゃん主演の架空の映画シリーズ『ジャック・スレイター』が大好き。映写技師からもらった魔法のチケットの力で映画の世界の中に入り、大好きなシュワちゃんと大冒険をする。キャラクターが現実世界にも飛び出して、フィクション世界とのギャップに驚く展開もある。
今風に言えば、「推しと一緒になれる」という夢小説のような物語。メタ的な演出も多く、『ターミネーター2』や『氷の微笑』、名優ハンフリー・ボガートといった映画ネタも登場。さらに現実世界では本人役のシュワちゃんほか、M・C・ハマーやジャン=クロード・ヴァン・ダムといった著名人もカメオ出演する。
こうしたメタ的な演出は、俳優が本人役をやや自虐的に演じる『その男ヴァン・ダム』(2008)や『マッシブ・タレント』(2023)、さまざまな作品をパロディする『チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ』(2022)などが登場した現代の観客は楽しんで受け入れるが、当時の感覚は少し違ったのかもしれない。既にアクションスターとしての地位を築いていたシュワルツェネッガー主演作にもかかわらず、公開時はあの『ジュラシック・パーク』(1993)の咆哮に吹き飛ばされ、興収成績は優れなかった。米Rotten Tomatoesに残る評価も、批評家・観客ともに40%台と厳しい。
シュワルツェネッガーは米The Hollywood Reporterに、「あなたのヒット作はよく知られているが、最も過小評価されていると思う役はどれですか?」と尋ねられると、ズバリ『ラスト・アクション・ヒーロー』と回答。今になって再評価の兆しが訪れていることを、次のように語った。最終的にお金の話になってしまっているのだが。
「『ラスト・アクション・ヒーロー』はグレートな映画です。ファンタスティックってわけではないけれど、過小評価されていると思う。今になってたくさんの人に観てもらえて、『いい映画ですね』と言ってもらえるようになった。私のところに再放送権のお金が入ってきているので、本当なんだと思います。それが大事なところ。だってショービジネスですからね。」
現在、『ラスト・アクション・ヒーロー』は一部の動画配信サービスでも視聴することができる。シュワちゃんもイチオシの本作を改めて観れば、映画にかける純然な情熱を思い出すことができるかもしれない。今こそ再評価したい一作だ。
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Source:The Hollywood Reporter