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マーティン・スコセッシ、Appleとのファーストルック契約を締結 ─ 映画界きっての巨匠、スタジオから配信サービスへ

マーティン・スコセッシ
Photo by THE RIVER

映画業界・ストリーミング業界に大きな動きだ。巨匠監督マーティン・スコセッシが、Appleとのファーストルック契約を結んだことがわかった。米Deadlineなどが報じている。

ファーストルック契約とは、映画会社・製作会社による企画を配給会社が最初に見ることができるというもの。このたび、スコセッシは自身の製作会社Sikelia Productionsを通じてAppleとの複数年契約を締結。今後、特別な例外が発生しない限り、スコセッシが監督やプロデューサーを務めるプロジェクトは、Apple TV+オリジナル作品として製作・配信されることになりそうだ。

スコセッシとAppleの関係性は、2021年に撮影が行われる最新作『キラーズ・オブ・ザ・フラワー・ムーン(原題:Killers of the Flower Moon)』から始まる。同作は当初、米パラマウント・ピクチャーズの一社製作となる予定だったが、製作費が2億ドルを超えることにパラマウントが懸念を示したことから、スコセッシ側の意向でAppleの出資参加が決定。Apple TV+オリジナル作品として製作されるが、配信に先駆けては、パラマウントの配給による劇場公開が世界規模で実施される見込みだ。

映画界きっての巨匠が、ハリウッドの大手スタジオからストリーミング企業へとパートナーを変えた背景には、スタジオとの間で予算面の折り合いがつかなくなってきたという近年の状況があるとみられる。スコセッシとパラマウントは『シャッター アイランド』(2010)から継続的に関係性を築いてきたが、渾身の大作となった前作『アイリッシュマン』も製作費の問題からパラマウントが離脱し、Netflixが製作・配給を引き受けたのだ。Netflixとの再タッグも期待されていたが、『キラーズ・オブ・ザ・フラワー・ムーン』の契約を経て、スコセッシは向こう数年間の信頼をAppleに寄せることを決意したのだろう。

ちなみにスコセッシの契約締結に先がけては、“盟友”レオナルド・ディカプリオの製作会社Appian WayもAppleとのファーストルック契約を結んでいた。ディカプリオの場合はテレビ作品や長編ドキュメンタリーに限っての契約だが、Appleが確かな顔ぶれを揃えつつあることがわかるだろう。いまや同社は、同じく巨匠監督のリドリー・スコットや俳優イドリス・エルバ、気鋭のスタジオ・A24などとも契約を済ませているのである。NetflixやHulu、Amazon、Disney+など群雄割拠のストリーミング業界で、Appleが新たな勝負に出る日も近いはずだ。

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Sources: Deadline, Variety

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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