Menu
(0)

Search

マーベル「シークレット・インベージョン」オープニングにAI映像を起用したことが批判の対象に

シークレット・インベージョン
© 2023 MARVEL.

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)新ドラマとして2023年6月21日にディズニープラスでの配信が開始された「シークレット・インベージョン」は、オープニング映像にAIを用いたことで思わぬ批判を招いている。

「シークレット・インベージョン」はニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)が、あらゆる人物に“擬態”できるスクラル人の“シークレット・インベージョン(地球侵略計画)”の阻止に挑むサスペンス・スリラー。誰にでも化けられるエイリアンを相手に、誰も信用できない緊迫の物語が展開される。

このドラマのオープニングでは、AIによって生成された奇妙な映像が採用された。スクラル人の肌の色である緑を基調に、人の姿や景色が、ゆっくりとも急速ともつかぬ速さで不気味な変化を見せるものだ。

「マンダロリアン シーズン3」「アソーカ」解説

ところが、これが顰蹙を買った。現在ハリウッドはAI脅威論の真っ只中にあるからだ。全米脚本家組合が進行中のストライキでは、AIに雇用が奪われることを防ぐ話し合いも重大なものとなっている。その最中で、最大手であるマーベル・スタジオがアーティストを起用せずAIに映像を制作させたことで、「ストライキ中の全アーティストやライターたちの傷口に塩を塗った」とアーティストから批判されているのだ。

監督を務めた1人のアリ・セレムは米Polygonで、当該のオープニング映像がAI製であることを認め、スクラル人の擬態能力やドラマのテーマ性を表現するのが目的であることを説明している。

セレムは、AIがどのようにアウトプットを生成するのか、その仕組みについては「よく理解していない」といい、「アイデアやテーマ、言葉を入力すると、コンピューターが動き出して何かをする。そして、さらに言葉を入力して、(生成物を)少し変えていく」とのプロセスを話した。このオープニング映像は、Method Studioが手掛けている。

ストライキの事情にも重ねて、将来クリエイターの職を奪う可能性のあるAIに頼った創作を、マーベル・スタジオのような大手スタジオが促進するべきではないとするもののほか、単純に映像の質に落胆する声もある。昨今は、「AIが作ったウェス・アンダーソン風映画の写真や映像」などAI創作の話題が多いが、米Colliderはこうしたトレンドについて「すでにうんざりするほど厄介になっている」「どれも痛々しいほど空虚で心がこもっていない」「既存のものコピーで、実際には何も生み出していない」と批判。「シークレット・インベージョン」のオープニング映像にも深みがなく、AI創作トレンドの延長線上となったことを嘆いている。

この話題の続き

Source:Polygon,Collider,Variety,Deadline

Writer

アバター画像
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

Ranking

Daily

Weekly

Monthly