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激論「シークレット・インベージョン」AIオープニング、制作スタジオが声明 ─ 「アーティストの仕事は奪われていない」

シークレット・インベージョン
(c) 2023 Marvel

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)「シークレット・インベージョン」オープニング映像にAI生成技術を採用したことによる議論について、制作を担当したMethod Studioが声明を発表した。

この映像では、人の姿や景色が、ゆっくりとも急速ともつかぬ速さで不気味な変化を見せる奇妙な映像が、AIツールによって描かれた。擬態能力を持つ異星人であるスクラル人が知らぬ間に人間社会を侵略するというドラマのテーマ性を、同じく様々な分野に浸透し始めている現実世界のAIの状況と重ねるようにした、巧みな表現であると支持する声もある。

一方で、現時点ではAIを制作の主たるプロセスに採用するべきではないと批判の声も挙がっていた。これはハリウッドにおけるAI脅威論によるもので、とりわけ現在は全米脚本家組合が製作スタジオに対してAIの利用制限も求めながらストライキを行っている真っ最中であることも、否定派の意見に一定の説得力を与えている。

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「シークレット・インベージョン」のAIオープニング映像に反対する人々は、それぞれに著作権を有した既存の素材を再構築しているに過ぎないAIテクノロジーによって、現実にいる生身のアーティストの仕事や価値が奪われるべきではないと考えている。マーベル・スタジオのような最大手スタジオがAI創作の大々的な活用を促進しては、業界における伝統的な製作プロセスの縮小をも招きかねないというものだ。これは、当該のAI映像が「シークレット・インベージョン」のテーマを表現しているかどうかという観点とは、また別の検討余地となりえるものだった。

監督を務めた1人のアリ・セレムは、(この新技術の専門家ではないが故に)制作プロセスを「よく理解していない」としながら、「アイデアやテーマ、言葉を入力すると、コンピューターが動き出して何かをする」と表現。この説明は、当該のオープニング映像のほぼすべてのプロセスにおいて、人間がいくつかの“呪文”を唱えるだけで、AIがまるで魔法のように自動的に創作映像を抽出したかのような印象を与えることとなった。

議論の広まりを受け、制作のMethod Studioは米The Hollywood Reporterを通じて、実際には多くのアーティストによる従来通りの仕事が多く含まれていたと発表。AIツールによって、アーティストの仕事が奪われたわけではないと説明している。

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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