『ミスター・ガラス』M・ナイト・シャマラン監督、マーベル・DC映画のオファー断っていた ─ 「僕の作品はクセが強い」

『ミスター・ガラス』のM・ナイト・シャマラン監督が、マーベル・コミックやDCコミックスを原作とする映画のオファーを断っていたことを明かした。米Yahoo! Entertainmentが伝えている。
独特の世界観を持つ作品で知られるシャマラン監督は、『シックス・センス』(1999)で一躍人気監督に。一時はキャリアの低迷期を迎えるも、『ヴィジット』(2015)と『スプリット』(2017)で復活を果たした。『ミスター・ガラス』も全世界オープニング興行成績が1億ドルを突破する見込みと、早くも大ヒットを期待されている。
そんな絶好調のシャマラン監督をマーベルやDCが放っておくはずもなく、すでに両者からオファーを受けていたという。では、なぜシャマラン監督はオファーを引き受けなかったのか? 具体的な作品名は明かしていないが、監督は「(コミックは)大好きなテーマなので悩みました。でも、皆さんにとって正しい作品にしないといけませんからね」と話している。「僕の作品はクセが強いんです。非常に独特ですし、ベストなものにするにはクセが必要なんですよ」。
すなわち監督が難色を示したのは、自分の作家性が独特であることを自ら認識していたからなのだ。スタジオの要求するものと、監督の作りたいものが必ずしも一致するとはかぎらない……。
「相手(スタジオ)にも独自の方向性があるので、フェアな関係ではないんです。もしも僕が“このショットは3分間、彼の後頭部から撮るつもりです。それから登場人物を非常に暗くして、(行動の)動機もすごく曖昧にしたい。観客をとても居心地の良くない状態に追い込みたいんです”と言ったらどうなるでしょう。スタジオには、そういう要求を受け入れてほしいんです。」

こうした考え方は、『ミスター・ガラス』や『スプリット』などを全額自費で製作したという、あまりに徹底されたクリエイターとしての姿勢にもぴったり一致するだろう。マーベル・シネマティック・ユニバースやDC映画ユニバースのように、すでに確立された世界観の作品を手がける前には、「自分のやりたいことができる場所なのか?それが適しているのか?」と問いかけるという。
「(マーベル/DCの映画には)それぞれ独自のテイストがあります。そこに新しいタバスコは求められているんでしょうか?これは哲学的な問題です。今後絶対に監督しないわけではありませんが、想像するのはすごく難しいんです。クセの強いフィルムメーカーに、そういう映画を作ってほしいとは必ずしも思いませんしね。」
“クセが強いフィルムメーカー”といえば、『ベイビー・ドライバー』(2017)などで知られるエドガー・ライト監督も独特の世界観を持つことで知られている。ライト監督はマーベル・シネマティック・ユニバース作品『アントマン』(2015)の監督・脚本に一時就任していたが、創作上の相違を理由にプロジェクトを離脱。後任者にはペイトン・リード監督があたった。この降板劇についてライト監督は、のちに「僕はマーベル映画を作りたかった、マーベルはエドガー・ライトの映画を本当に作りたいわけではなかった」と述べている。
残念ながら、現時点でシャマラン監督がマーベル/DCコミックス原作の映画を手がける予定はないという。しかしながら最新作『ミスター・ガラス』も、特殊能力を持つ人物をめぐる“ヒーロー映画”にほかならない。まずはこちらの作品で、シャマラン監督による独自の世界観のもとで展開するヒーローたちの物語を堪能していただきたい。
映画『ミスター・ガラス』は2019年1月18日(金)より全国ロードショー。
『ミスター・ガラス』公式サイト:http://Movies.co.jp/mr-glass
Source: Yahoo! Entertainment