【インタビュー】『スカイライン-逆襲-』監督「日本のファンは細かいところまで気付いてくれる」

みんなで集まって、大きなステディカムで、ラドフォード将軍にまつわる、とあるシーンを撮影する場面もありました。そのシーンは計画から映像化に移すのに最も複雑で、バタバタしていて、大変でした。あらゆることが同時にやってきて、ものすごいペースで進んでいくんです。

──『スカイライン』3部作は、毎作主人公が変わります。
そのおかげで、各作品が独立したような感じがありますよね。しかも、それぞれが繋がってるというのが良い。実はローズも、第1作目の最初から登場しているわけですからね!ジャロッドとエレインの妊娠のところ!つまり、一番最初から伏線があったってこと。ローズは2作目でも登場しますしね。
毎回主人公が変わるからこそ、作品ごとの個性が生まれていると思います。正直、監督が誰かよりも、主人公が誰かという方が作品への影響はデカいと思います。よく、「監督の仕事の9割はキャスティングだ」って言うんですよ。誰が映画の主役になるのかが大事ってことです。

『奪還』は、グリズルでグリッティーでグリロだったでしょう!(Grizzledは”灰色がかった”、Grittyは”砂だらけの”、Grilloは言わずもがな、2作目の主演フランク・グリロのこと) 『逆襲』でローズ役にリンゼイを推したのは、彼女もフランク・グリロ並のフィジカルや激しさを持っていたから。
リンゼイは女性であり、繊細な面も持っていて、とても強くて、そして器用。3部作として見るとピッタリの主演だと思うんです。1作目は男と女がふたりで主人公だった。2作目で男性に、そして3作目で女性になる。エネルギーが移ろいゆくようで良いなって。今作でも、ジョナサン・ハワード(レオン役)が強い男性としての主要な役を演じていて、ローズとの調和をなしている。彼の物語が、映画のテーマを作っている部分も大きいと思います。
(主人公が変わるおかげで)シリーズが冗長になることもありませんし、繰り返しにもならないと思っています。常に新しい方向に進んでいけるんです。

NG集へ込めたこだわり
──『スカイライン』は、どこかクラシック映画、古き良き映画のような雰囲気があると思います。小さい頃、土曜日の昼下がりにテレビでジャッキー・チェンの映画を観ていた時のような。『スカイライン -奪還-』でもそうですが、映画の最後にNG集も入りますよね。
イエス!(笑)『プレデター』(1987)のエンディングでも、殺されたキャラクターたちもみんな出てきてカーテンコールをやりますよね。振り向いてレンズを見て笑う、みたいな。映画で大冒険をして、最後に役者が役者として登場して、”そうそう!いたよなコイツ、好きだった!”ってさ(笑)。実は『奪還』では編集しながらNGシーンをまとめていたんですよ。めっちゃ笑える映像ですよね。あそこに入れられなかったNG映像も、もっとあるんですよ。
視覚効果の仕上がりを待っている間に、僕たちの方でNG集の製作をやっていました。皆にお披露目した時は、「ヤバい!」って超盛り上がってましたよ。なので、あれはまさしくジャッキー・チェン映画と『プレデター』のミックスです。1作目の『征服』はブレット・ラトナーがエグゼクティブ・プロデューサーに入っていましたが、実はあの後、彼の『True Crime Honk Kong』というビデオゲームの企画にも携わったんです。それが『スリーピングドッグス 香港秘密警察』になりました。彼の家に行ったときに、リサーチ用にジャッキー・チェンの映画を山程渡されて。思えば、NG集の考えはそこから本格化したのかな。
あなたが言ったみたいに、土曜日の昼間に自宅で映画を観ていたときの、『エイリアン』や『プレデター』みたいな感じ。ああいう映画が僕は好きなんですよね。観た人に、あの感じだよって気付いてほしい。作風はシリアスなところがあって、不条理なことがたくさん起こる。そもそも『スカイライン』の始まりだって、数人がアパートに閉じ込められるという話だったのに、今じゃ銀河を横断しているでしょう(笑)。だからこそ、オモシロ要素も取り入れたかった。こんなことになるなんて、誰が思った?って。