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『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』製作陣、アカデミー賞獲得に熱意 ─ トム・ホランド「オスカーにはヒーロースーツが少なすぎる」

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム
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マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)最新作『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は、アカデミー賞の栄冠に輝くことができるか? 米The Hollywood Reporterでは、製作のキーパーソンたちがオスカー像獲得への意欲を示している。

本作のプロデューサーを務めたエイミー・パスカル氏は、ソニー・ピクチャーズの元会長として数々の作品をアカデミー賞に送り出してきた映画界の重鎮だ。スーパーヒーロー映画はいまだ主要部門で評価されにくい傾向にあるが、パスカル氏は「特定のジャンルの映画は質が低い、などということはありません」と力を込めた。「私たちは人々が観たい映画を作り、いろいろな感動を与える映画を作るという仕事をしています。この映画もまさしくそうだと思います」。

ソニー・ピクチャーズのトム・ロスマン会長は、『ノー・ウェイ・ホーム』のクオリティに自信を示した上で、「質が高く、商業性も高いという作品を作るのは本当に難しいこと。これぞアカデミーに必要なものです」と述べた。90年代にサーチライト・ピクチャーズの設立に携わったロスマン氏は「アートフィルムがある程度認められてきたことは素晴らしいこと。けれど、質の高い商業映画を除外することはしないでほしい」と言い、「(『ノー・ウェイ・ホーム』で)大ヒット映画への偏見を乗り越えなくては」と冗談めかして語ったという。

かたや『ブラックパンサー』(2018)で作品賞ノミネートの実績があるマーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長は、「幅広い層の人々に強く訴えかけるというストーリーテリングの芸術性を考慮してほしい」と述べ、今後数週間にわたって公にこのことを語っていく意向を明かした。

「メッセージがあり、世界中のさまざまな人々にとって意義のある商業映画を作るのは極めて困難なこと。けれども、たやすく無視されることもしばしばあると思います。“スーパーヒーロー映画なんだから成功するでしょ”というふうに。実際にはそうじゃない。コスチュームを着るのが(ヒットの)コツではなくて、観客を巻き込めるアーティストとストーリーテラー、職人たちこそがコツなのです。批評家や観客がそのことを認識したら、次はアカデミーが認識しているかどうかについて語るべきだと思います。」

『ノー・ウェイ・ホーム』が特殊なのは、MCUだけでなく過去のスパイダーマン映画とも繋がりを持っているため。サム・ライミ版『スパイダーマン』3部作や『アメイジング・スパイダーマン』2部作から、ドクター・オクトパスやグリーン・ゴブリン、エレクトロといったヴィランが集結するのである。ロスマン氏とファイギ氏は、かつてアカデミー賞で11部門に輝いた『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』(2003)にも言及。同作が『ロード・オブ・ザ・リング』3部作の集大成だったように、本作もMCU版『スパイダーマン』3部作や過去作を祝福する映画なのだと強調した。

現在、アカデミー賞の作品賞は10作品をノミネートできる状況。ロスマン氏とファイギ氏、パスカル氏の3名は、より多様な映画を受け入れられる環境であることに期待を示している。ちなみに、主演のトム・ホランドは「アカデミー賞映画にはヒーロースーツが少なすぎる」と述べた。

映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は2022年1月7日(金)公開

Source: The Hollywood Reporter

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。