『ハン・ソロ』前監督フィル・ロード&クリス・ミラー、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』に近い西部劇を構想していた?

スター・ウォーズ」シリーズのスピンオフ映画第2弾『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』(2018)は、本撮影が後半にさしかかろうという2017年6月に大きなトラブルに見舞われた作品だった。監督としてプロジェクトに携わっていた、『21ジャンプ・ストリート』(2012)や『LEGO(R)ムービー』(2014)のフィル・ロード&クリス・ミラーが、ルーカスフィルムとの「創作上の相違」を理由に降板。後任者には、二人とはまるで作風の異なる名匠ロン・ハワードが起用されたのである。

『ハン・ソロ』の劇場公開を迎えた現在、映画ファンの間では『ハン・ソロ』への好評が聞かれる中、「フィル&クリスが撮った『ハン・ソロ』を観たかった」という声も根強い。ついに実現しなかったフィル&クリス版『ハン・ソロ』はどのように計画されていたのか……。関係者の証言から少しだけ覗いてみることにしよう。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』風西部劇?


フィル&クリスの降板理由として有力視されているのは、二人がこれまでの経験を生かして、即興演技を多分に用いながらシーンを撮影していたというものだ。これに納得しなかったのが、本作の脚本を手がけた、『帝国の逆襲』(1980)や『ジェダイの帰還』(1983)など「スター・ウォーズ」の重鎮として知られるローレンス・カスダン。脚本のせりふ通りに撮るよう、二人に要求したともいわれている。

Wall Street Journal誌によれば、職人的な仕事で映画を仕上げることで知られている後任者のロン監督は、フィル&クリスが一日がかりで撮影したシーンをほんの数時間で撮り直すこともあったそう。完成した作品のうち、ロン監督が撮影した場面は全体の70%ほどだといわれている。同誌に証言した関係者はこう語っている。

「ロンは(『ハン・ソロ』を)オリジナル3部作の精神に近づけようとしていました。一方、フィル&クリスが求めていたのは、もっと新しいものだった。もっと『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』みたいな感じだったんです。」

しかし筆者は、ここで『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』という名前が挙げられていることには誤解を招く余地があるのではないかと想像する。フィル&クリスは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)のテイストを模倣するようなクリエイターではないし、同作を手がけたジェームズ・ガンとは作風が大きく異なる。そういった点を踏まえて考えれば、この関係者が言わんとしたのは、たとえば「もっとコメディタッチで、軽やかかつシニカルで、ドライブ感のある」というようなことではなかったか……。

 

その一方、『ハン・ソロ』で撮影監督を務め、フィル&クリスやロン監督との仕事を経験したブラッドフォード・ヤングは米Chicago Tribune誌にこんな証言をしている。『完全なるチェックメイト』(2015)やドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作品『メッセージ』で撮影を務めた気鋭のクリエイターだ。

「フィル&クリスと会った時、二人が頻繁に参照していたのは『ギャンブラー』(1971)でした。」

ロバート・アルトマンが手がけた異色の西部劇である『ギャンブラー』は、決して痛快なアクション西部劇ではなく、雪の降る鉱山町で男女や人々の人間ドラマが淡々と描かれる一本だ。もちろん『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』やフィル&クリス作品、そしてロン監督による『ハン・ソロ』の完成版とも大きく異なるテイストなのだが、果たして二人は『ギャンブラー』のような演出を目指していたのか、それとも美しい映像表現が現在も高く評価されている『ギャンブラー』の撮影を参考にしていたのか……。

映画『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』は2018年6月29日より全国の映画館にて公開中

『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』公式サイト:https://starwars.disney.co.jp/movie/hansolo.html

Sources: WSJ, CT
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THE RIVER編集部。わかりやすいことはそのままに、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすくお伝えしたいと思っています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp へ。

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