【特集】新ドロイド「L3-37」ふたつの“史上初”とは ― 『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』演じたのは最注目のクリエイター

映画『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』は、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)につづく「スター・ウォーズ」シリーズのスピンオフ映画第2弾だ。両作に共通するのは、いずれも『エピソード4/新たなる希望』(1977)の前日譚であり、それでいて『エピソード3/シスの復讐』(2005)よりも後の出来事を描いているということ。そして、それまでの作品には登場しなかった新しいドロイドが登場するということだ。
本作『ハン・ソロ』に登場するのは、ふたつの“史上初”を併せ持つドロイド「L3-37」。ランド・カルリジアンのパートナーとして登場するこのキャラクターをモーション・キャプチャーで演じたのは、イギリスの劇作家からキャリアをスタートさせたフィービー・ウォーラー・ブリッジだ。本記事では、このドロイドに秘められた作り手たちの思いを各証言から紐解いてみることにしよう。
https://www.youtube.com/watch?v=xXbX75XKyzs
自分で自分を作り出した、史上初の女性ドロイド
『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』で脚本を執筆したジョン・カスダンは、L3-37という新ドロイドを考案にするにあたって、「これまでの映画に出てきたドロイドとは完璧に異なるキャラクターにしたかった。絶対に女性にしたかったんです」と語る。「スター・ウォーズ」の映画シリーズにおいて、女性ドロイドは史上初だ。しかしそれだけでは“完璧に異なるドロイド”にはならない。そこで脚本家チームが考えたのは、ジョンがいうところの「完全なる個人」としてのドロイドだった。
ランド・カルリジアン役のドナルド・グローバーは、ランドとL3-37は「二人とも自力でやってきた」と述べる。ランドが“自力でやってきた”のは、彼が登場した『帝国の逆襲』(1980)や『ジェダイの帰還』(1983)などからも明らかだろう。
しかしL3-37の場合、“自力でやってきた”という言葉には少々違った意味が伴うのだ。L3-37役のフィービー・ウォーラー・ブリッジは、その特徴をこう説明する。
「彼女は自分で自分を作ったんです。(ほかのドロイドの)いろんな部分を繋ぎ合わせて自分自身を作った、唯一無二の存在なんですよね。」
脚本家のジョンは、L3-37を「雑種のようなもの」とも形容する。その特徴はデザインを見ても明らかで、頭部はBBユニット、胸部や腕はR2ユニット/アストロメク・ドロイドを思わせるのだ。そもそも「L3-37」という名前は、英単語のアルファベットを別の記号や数字に置き換える表記方法「LEET」(たとえば“Luke”は“1uke”と書き換えられる)からきているという。それ自体が、いろんなドロイドの部品で構成されているという特徴を象徴しているだろう。
いささか奇妙な新ドロイドの内面について、フィービーは「L3-37は私にとっても本当に刺激的なキャラクターでした」と話す。その性格については、「積極的で楽観的。怖いもの知らずで、誰にも検閲されていなくて、すごく愉快なんです」と説明するのだ。
「(スター・ウォーズの)ドロイドにはそれぞれユニークな特徴がありますが、彼女には自分がドロイドであることを超えた課題があって、それは珍しいことだと思います。反抗的で、変化を求めていて、自分には大きな役割があると感じている。自分の信条があるんですよ。椅子に深く腰かけて、足を組んで、気取った態度を取っているようで…彼女の物語は、すごく優れていると思いますね。」
注目のクリエイター、フィービー・ウォーラー・ブリッジ
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