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【ネタバレ解説】『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』新予告編映像を考察 ─ 『アベンジャーズ/エンドゲーム』直後、MCUはさらに拡大する

スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム
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『エンドゲーム』ほぼ直後、トニー・スターク亡き世界で

これまで定かではなかった『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』の時間軸について、ジョン・ワッツ監督は「(『エンドゲーム』から)具体的にどれくらい後かは言いませんが、ほぼ”直後”といったところです」と解説する。アイアンマン/トニ・スタークを失った世界は、その喪失感の中にあった。街中や学校の教室など、いたるところにアイアンマンのイラストが捧げられており、ピーターは亡き師の影を忘れることが出来ない。

その虚無感は、長年トニーに連れ添ったハッピー・ホーガンとて同じだった。監督は、「ハッピーはずっと始めからトニーと共にいたんです。今作は、世界の中心が無くなった後に、自分の居場所を探し求める物語なのです。」と解説する。

前作『スパイダーマン:ホームカミング』ではピーターを厄介者のようにあしらっていたハッピーは、泣き腫らした瞳ですがるように見つめる若きヒーローに心を寄せ、「トニーは君に全てを託したんだ」と認める。ところで、ハッピーが少し日焼けしているように見えるのが気になるが…。

「新チーム結成」試みるニック・フューリー

『インフィニティ・ウォー』『エンドゲーム』で活躍したアイアン・スパイダー・スーツも、ついにスパイダーマン単独映画で本領発揮。『ホームカミング』以来、サノスらとの戦闘も経てすっかりスーツにも慣れたピーターは、強盗をらくらく退治してみせる。警官を軽くあしらうなど、その軽口は今作でも健在だ。「これから僕は夏休みだ!」ピーターは気の置ける仲間たちとともに、ヨーロッパに旅行に出かけるのだ。

スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム

ここでピーターの元に、ニック・フューリーから着信が入る。監督によれば、本作では「これまで見たことのない新しいニック・フューリー」が描かれるという。『インフィニティ・ウォー』でサノスの指パッチンの犠牲になっていたフューリーだが、『エンドゲーム』のルッソ監督の説明によれば、消えた者たちは5年間「無意識」で「深い眠りのような」状態であり、何が起こったのか知らぬまま戻ってくるのだ。

つまりニックは「世界に追いつこうとしている」とジョン監督。「彼は5年間消えていて、その不在の間に世界が劇的に変化していた。そこで、新たなチームを結成しようとしているんです。

ところがピーターは、この入電を無視してしまう。「ニック・フューリーからは逃げられんぞ!」と叫ぶハッピーだが、その背後に見えるレスリングの広告看板は、このピーターの振る舞いが彼の運命を大きく左右することを示唆している。

サム・ライミ版『スパイダーマン』(2002)にも描かれたスパイダーマンのオリジン・ストーリーでは、蜘蛛のパワーを手に入れたピーターがレスリングの大会に出場、優勝賞金の満額が支払われなかった腹いせに、運営事務所に現れた強盗を見逃す。これがベンおじさんの死につながり、「大いなる責任」に気付かされるのだ。ハッピーの背後に置かれた賞金額付きのレスリングの広告看板からは、このシーンに何らかの意味が込められている気配が感じられる。

ピーター・パーカー、ヨーロッパ旅行へ

忍び寄る運命など知る由もないピーターは、もちろん滞在先にまでアイアン・スパイダー・スーツを持参することはなかった。ところがメイおばさんによって通常のスーツが旅行バッグに忍ばされていたらしいことが、既に公開済の映像から明らかになっている。

ヴェネチアやベルリン、ロンドンとヨーロッパの都市を巡る彼らの夏休み旅行には、ピーターのほかに親友のネッド、嫌味ないじめっ子のフラッシュ、そしてミステリアスなMJ(ミシェル・ジョーンズ)が同行。ネッドはピーターと同じく”指パッチン”で消えていた事実が確認されているが、フラッシュやMJも5年分の歳を取っているようには見えないため、彼らも同様に消失していたのだろう。

日常を離れたヨーロッパの街で、MJとのロマンスも期待させながら旅行を楽しむピーター御一行だが、ピーターとネッドの宿泊先に突如としてニック・フューリーが現れる。「君はなかなか連絡がつかない人だな、スパイダーマン(原語:You’re very difficult person to contact, Spider-Man、字幕:ようやく話ができそうだな)」のセリフは、既に公開されていた予告編映像の「ようやく会えたな、スパイダーマン」から差し替えられている。ピーターとフューリーのふたりは、厳密にはトニーの葬儀にて居合わせていたからだ。

ミステリオ登場、ついにマルチバース導入へ

スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム

フューリーの紹介で現れたのは、ベックと名乗る人物。ジェイク・ギレンホール演じるこの男は、原作コミックではイリュージョンを駆使して戦うヴィランのミステリオとしてよく知られたキャラクターだ。

驚くべき説明によれば、ベックは「異次元」からやって来たという。サノスとの戦いで、別の世界の扉が開いたというのだ。これは、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の今後における極めて重要な展開を匂わせている。ピーターのセリフにあるように、MCUは今作をもって「マルチバース」の概念に本格的に取り掛かると見られるのだ。

ジョー・ルッソ監督は、『エンドゲーム』に登場したタイムトラベルは「新しい現実を作り出すもの」であると解説している。たとえば、ストーン返却のために過去に戻ったスティーブ・ロジャースが自分の人生を生きたことで、「スティーブ・ロジャースが自分の人生を生きた」という世界線がどこかに生じたということだ。「映画の最後には老いたキャプテン・アメリカが登場しますが、彼が過ごした人生のタイムラインは、この映画のタイムラインとは別物です」とも明言されている。

これまで、あくまでもひとつの世界観の中での物語を取り扱ってきたMCUは、『エンドゲーム』などで示唆された「マルチバース」の概念を『ファー・フロム・ホーム』から本格化させるようだ。MCUにおける「フェイズ3」最終作が『エンドゲーム』ではなく『ファー・フロム・ホーム』であるという情報にも、これで合点がいく。

この概念の導入は、良くも悪くも物語の取扱範囲をほぼ無限に拡大できるということを意味している。あえて乱暴な推察をするのであれば、「別世界からやって来た」を合言葉に、米ディズニーと20世紀フォックスの事業統合によって権利が獲得されたX-MENやファンタスティック・フォー、デッドプールといったヒーローたちに加え、ソニー・ピクチャーズ製作によるヴェノムなどとの共演に向けた下地が出来てしまったとも言えるのだ。マルチバースの概念をいち早く映像化していた『スパイダーマン:スパイダーバース』(2019)脚本のクリス・ミラーも、思わず「今マルチバースって言った?」驚いた

Writer

中谷 直登
中谷 直登Naoto Nakatani

お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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