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【解説】『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』予告編考察と展開予想

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム
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書類を叩きつける男

この取調室では、ピーターの右側で白シャツと黒ネクタイの男性が、デスクに書類を叩きつけている。この動作から、彼は激しい感情にかられているはず。ピーターを攻めているのか、あるいはピーター側の人間として反撃の意志を奮い立たせているのかは不明だが、きっとこの男性の登場は重要なものなのではないか。肩から上を映さない不自然なカットも、「ダンダカダン!」とやらた盛り上げにかかるSEも意味深である。この男性、もしかしてマシュー・マードック……?

ご存知マシュー・マードックといえば、ニューヨークを縄張りに戦うクライムヒーロー、デアデビルのこと。いちおう世界観が繋がっているはずのNetflixのマーベル・ドラマシリーズのひとつ「Marvel デアデビル」では、チャーリー・コックスがこの恐れを知らぬ盲目の戦士を全3シーズンにわたって演じた。昼は弁護士として法で悪を裁き、夜はデアデビルとして法で裁けぬ悪と戦うというヒーローだ。

デアデビルらNetflixのマーベル・ヒーローたちは、これまで権利管理の関係でMCUへの登場が不可能だったが、最近になって権利がマーベル・スタジオ側に移ったので、理論上は登場が可能である。起訴されたピーターの弁護士として登場するのがNetflix版のマシュー・マードック……なんて展開が実現したら、ファンは劇場でひっくり返るだろう。仮にデアデビルとしてのアクションがなかったとしても、感激で咽び泣くファンもいるはずだ。

とはいえ、そもそもがマルチバースの取り扱いにドクター・ストレンジの登場など、あちこちから登場人物が多い本作。おまけに、あくまでもNetflix内でのドラマであるマシューを登場させては、「この人だれ?」と困惑する観客も多いはずだ。期待値は低めで見ておこう。

ストレンジ冬仕様、ウォンはお出かけですか

街ではすっかり悪人扱いされ(0:34、ブリーチをかけたフラッシュの新スタイルにも注目)、学校では好奇の目に晒されて(0:41、廊下の右上モニタでレポーターをやっているのはベティ)写真を撮られまくるピーター。1:09では、学校のカフェテリアのようなところで、ピーターがブラックカラーのスーツを着たまま逃走するような姿も確認できる。カフェテリアといえばトビー・マグワイア版の『スパイダーマン』で、ピーターの「第6感」の目覚めが描かれたシーンが思い出される。今回のピーターはカフェテリアで緊急事態に陥っている様子だから、皮肉なオマージュが含まれているのかもしれない。

ピーターの周囲では、ネッドやメイおばさんまで連行されてしまったようで、なんとかせねばと悩んでいるピーターの目に留まったのが、ハロウィンの魔術師の装飾。この装飾、どことなくハッピー・ホーガンに似ていないだろうか。だとしたら、メイおばさんにイイところ見せたいハッピーが、張り切って発注したのかもしれない。

ともかく、これがヒントとなって、ピーターは盟友ドクター・ストレンジを頼ることを思いつく。確かに『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)後のピーターにとって、ちゃんと頼れそうな大人はストレンジくらいだ。『エンドゲーム』で助けてくれたキャプテン・マーベルのお姉さんはどこにいるかわからないし、サム・ウィルソンやバッキーは忙しそう。ソーはピーター・クイルと共に宇宙に行ってしまった。ブルース・バナー(スマートハルク)はたぶん研究職で忙しそうだし、ローディやクリント・バートンとはあんまり絡みがない。スコット・ラングは、んー、まぁね。というわけで、やっぱり困った時はストレンジさんである。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)でも、いちばん一緒に戦った先輩だし。知的で、話も聞いてくれそうだし。

そんなわけで訪れたニューヨークのサンクタム・サンクトラムは、なぜか一面冬仕立て。ホールの左手には雪かきをしている姿もある。ストレンジもマグカップを片手に、どこかの大学のパーカー(?)とダウンジャケットで防寒ばっちりだ。

ピーターがストレンジに頼んだのは、日本語字幕では「あなたの力ですべて無かった事に?」と表示されるが、原語を直訳すると「彼がそうしなかったようにすることはできませんか?」、つまり「ミステリオがピーターの正体をバラさなかった」ことにできませんか、ということだ。

「あの呪文は危険すぎる」と言いながら、ウォンは旅行鞄を両手にどこかへ移動しようとしている。その姿からして、休暇を取って旅行にでも行くのだろうか。ウォンは『シャン・チー/テン・リングスの伝説』にも登場する。『シャン・チー』でいろいろ戦って疲れたので、オフを取ったのかもしれない。ところで、どうしてサンクトラムは冬の状態なのだろう。ストレンジが冬気分を楽しみたくてわざとこうしているのか、あるいは魔術に失敗してこんなことになってしまったのかはわからない。もしかしたら後者で、ちょっとウォンが不機嫌っぽいことを考えると、ウォンは呆れて逃げ出すように旅行に出かけることにしたのかも。

そんなウォンの制止を聞くだけ聞くフリをしたストレンジ。まるでのび太くんに泣きつかれたドラえもんのように、ピーターの願いを叶えてあげようとする。さりげないウインクをされたピーター、やっぱりストレンジさんのところに来てよかったと安心したことだろう。

ミスったっぽいストレンジ

その後、地下室に移動して呪文の準備をするストレンジは「世界中のすべての人から君がスパイダーマンだという記憶を消し去る」と説明しているが、そこでピーターは、MJやネッド、メイおばさんの記憶もリセットされるのではないかということに気付く。ピーターが気づいているかはわからないが、「世界中のすべての人」ということは、アベンジャーズの先輩たちからも忘れられてしまうのだろうか?ピーターの望み通り「ミステリオが正体をバラした事実」だけを消してくれるのなら、それ以前の記憶は残っているはずだから安心なのだが……。

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム
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ところがどうやら、ストレンジは術に失敗して、とんでもない事態になってしまった模様。時空が歪んでしまい、「ロキ」でシルヴィがもたらしたマルチバースに触れてしまったようなのだ。これによって、以前からウワサされていたトビー・マグワイア版『スパイダーマン』シリーズ、アンドリュー・ガーフィールド版『アメイジング・スパイダーマン』シリーズの登場人物たちが、本当に出現することになった。

映像ではストレンジらが乗った電車が、世界線が分岐していくかのように増殖している。電車といえば、『スパイダーマン2』(2004)の名シーンを思い出さずにはいられない。今回の映像はニューヨーク市中ではなく、どこかの山岳地帯を走っているようだが……。

コミック「スパイダーマン:ワン・モア・デイ」の参照

ちなみにスパイダーマンの正体が世間に知られたり、ストレンジに事実の改変を求めるという展開は、原作コミックにもある。

コミック版の「シビル・ウォー」でピーターは、トニー・スタークの側に加わるにあたって、記者会見を開いて自分から素顔と正体を晒している。その後ピーターは、ヒーロー登録法反対派に鞍替えしたことから政府に追われる立場となり、またヴィランたちはピーターの家族を標的にするようになる。これによってメイおばさんが狙撃され、重体に。そこでピーターは、ドクター・ストレンジにメイおばさんを救えないかと相談するのだ。これは断られてしまうのだが、そこに悪魔であるメフィストが現れ、「メリー・ジェーンとの結婚を無かったことにする」のと引き換えに、メイおばさんの命を救うことができると持ちかける……というエピソードだ(「スパイダーマン:ワン・モア・デイ」)。

Writer

中谷 直登
中谷 直登Naoto Nakatani

お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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