『スター・ウォーズ』全作あらすじ解説 ─ エピソード8『最後のジェダイ』に向けた予習/復習に

「『スター・ウォーズ』って、どんな映画なの?」多くのスター・ウォーズ・ファンは、このシリーズをまだ観たことのない者に一度はこう聞かれた経験があるだろう。この問いへの答え方にはいくつもの方法がある。「とても良くできたSF映画だ」とか「ダース・ベイダーとルーク・スカイウォーカーの親子の物語だ」とか、一言や二言で良い表すことだって出来る。
しかし、『スター・ウォーズ』のファンらは、とある厄介な呪いにかけられているのもまた事実である。いかなる状況でも、『スター・ウォーズ』については熱っぽく語りたくなるし、この物語を正しく継承することを何故だか義務のようにも感じている。何故か?わからない。わからないからほとんど呪いなのだ。そしてファンは、この奇妙な呪いをとんでもなく愛している。
「『スター・ウォーズ』って、どんな映画なの?」と尋ねられたファンは、まだ無知で若いルーク・スカイウォーカーに、「やれやれ」とでも言いたげに過去の歴史を語ったオビ=ワン・ケノービのように、遠い目をしながら少しの意地悪心と優越感に浸って語る。オビ=ワンは、「思い出した」と立ち上がってルークにライトセーバーを手渡した。実に白々しい。ずっとこの瞬間を心待ちにしていたはずなのだ。
そういう瞬間が、『スター・ウォーズ』ファンにはある。友人、恋人、家族に「『スター・ウォーズ』って、どんな映画なの?」と尋ねられる瞬間が。そうしたら、無い白ひげを撫でる真似をしながらこう答えるんだ。「数万年もの間、ジェダイが旧共和国の秩序と平和を守っていたんだ。帝国の暗黒支配が始まるまで…。」
『スター・ウォーズ』の厄介で愛すべき呪いにかけられた筆者は、改めてこれまでの『スター・ウォーズ』映画全作を振り返ることにした。それぞれにあらすじ、簡単な解説も添えた。この記事では、『スター・ウォーズ』の全ての魅力を網羅しているわけではない。まだまだ語り尽くせぬ深奥さが無限に広がっている。シリーズにあまり馴染みのない方にとっても復習の内容としてご活用いただければ幸いだ。
この記事には、『スター・ウォーズ』実写映画全作の内容が含まれています。
スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス(1999)
あらすじ
そもそもスター・ウォーズというタイトルには「WARS(=戦争)」とあるのだから、この物語の世界では絶えず戦争が起こっている。そして実際の戦争がそうであるように、そのいきさつには政治的な思惑の交錯が関係しているということをまずは頭の片隅に置いておいてほしい。
スター・ウォーズは、「遠い昔、遥か彼方の銀河系」で繰り広げられる物語だ。私達の世界の銀河系では、地球だけが唯一生命体が暮らす惑星とされるが(ここではそうしておこう)、スター・ウォーズの世界には無数に散らばる星々それぞれに生き物が暮らしていて、まるで地球の国々の関係のように、星と星が外交関係にあるというわけだ。
銀河の星々とはいえども、ある程度は皆統一しようねという文明民族が集まって、「銀河共和国」というものを作り、惑星コルサントにその首都を置いていた。共和国は民主主義と官僚制度をモットーとし、フォースを操る戦士「ジェダイ騎士団」に警察のような役割を任せていた。
『ファントム・メナス』は、そんな共和国が政治的危機に陥ってる場面から幕を開ける。銀河をまたぐ貿易や運送を手がける通商連合と呼ばれる複合企業が、銀河共和国外縁の星系と通商摩擦を起こしていた。論点は貿易関税率についてだった。しかし銀河共和国の元老院は腐敗が進んでおり、議論がいっこうに進まない。業を煮やした通商連合がナブーという名の小さな惑星を威嚇包囲してしまう。そこで共和国の依頼を受けて仲裁に駆り出されたのが、ジェダイ・マスターのクワイ=ガン・ジンとパダワン(弟子)のオビ=ワン・ケノービだ。
実は通商連合は、シスの暗黒卿ダース・シディアスと裏でつながっており、クワイ=ガンとオビ=ワンはナブーの地で襲撃に遭うことになる。乗ってきた船も失い、八方塞がりとなった2人は、偶然ジャー・ジャー・ビンクスというスター・ウォーズ史上最も嫌われ者のキャラクターと出会い(何故嫌われているのかは、観れば理解できるはず)、ジャー・ジャーの属するグンガン族の助けを借りてナブーの首都シードへ到着する。