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『アリー/ スター誕生』を『ブレードランナー 2049』ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が絶賛する理由 ─ 「名監督の誕生を告げる映画です」

アリー/スター誕生
© Warner Bros. 写真:ゼータイメージ

映画『アリー/ スター誕生』は、『ハングオーバー!』シリーズや『世界にひとつのプレイブック』(2012)、『アメリカン・スナイパー』(2014)の俳優ブラッドリー・クーパーによる監督デビュー作だ。本作はクリント・イーストウッド監督、ビヨンセ主演で始動した企画だったが、紆余曲折を経て、イーストウッドの信頼も厚いクーパーが主演・監督を務めることになったのだ。

この作品を観て、「『アリー/ スター誕生』は名監督の誕生を告げている」と記した人物がいる。『ブレードランナー 2049』(2017)や『メッセージ』(2016)、『ボーダーライン』(2015)などで映画界を牽引する監督のひとり、ドゥニ・ヴィルヌーヴだ。


ドゥニ・ヴィルヌーヴ
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督 Photo by Gage Skidmore https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/35397143143/

「映画の純粋な形を目撃しているように思った」

優れたクリエイターであり、自身もシネフィルだと豪語するヴィルヌーヴ監督は、第71回(2018年)カンヌ国際映画祭のコンペティション部門をはじめ、さまざまな映画祭で審査員を務めてきた。しかし、そんなヴィルヌーヴにとっても『アリー/ スター誕生』のプレミアは「かつて見たことのないものだった」という。まるでロック・コンサートのように、ブラッドリー・クーパーやレディー・ガガの優れた演技に観客が歓声や拍手を送っていたそうだ。

しかし、ヴィルヌーヴは「この映画は他の点でも成功している」と強調した。“歌唱にごまかしが効かないように、映画でロマンスを描くことにもごまかしは効かない”と力説したあと、監督はこう記している。

「『アリー/ スター誕生』を観て、僕は映画の純粋なふるまいを目撃した思いがしました。人生の、そして映画そのものの主題が、見事なラブストーリーを通してそのままに映し出されていたのです。一人の男性が、一人の女性を自分の世界に導いていくのです。

現代において、優れた、説得力のあるラブストーリーを生み出すことは簡単ではありません。私たちはひねくれた時代を生きているからです。(ラブストーリーには)人物の関係性が生まれるところに、真実と、そして本物の感情をもたらす強力な演出意図が必要になります。それもセンチメンタリズムに陥ってしまう、いくつもの罠に引っかからないように。この映画の本物らしさ、豊かさは並外れています。『アリー/ スター誕生』は、創造と自己破壊への誘惑との間にある、不毛の地を見事に描いた作品でもあるのです。」

こうした発想は、ヴィルヌーヴ監督が『ブレードランナー 2049』でも自ら実践していたものだ。主人公の捜査官Kとホログラムの恋人ジョイ、娼婦マリエッティの関係性を複雑なまま映像として切り取るため、ヴィルヌーヴ監督は表現に強いこだわりをもって撮影に臨んでいる。『メッセージ』の主人公ルイーズ・バンクスと地球外生命体(ヘプタポッド)のコミュニケーションにも、これに通じるところがあるだろう。

ブレードランナー 2049
『ブレードランナー 2049』Blu-ray&DVD発売中 (C) 2017 Alcon Entertainment, LLC., Columbia Pictures Industries, Inc. and Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

ヴィルヌーヴ監督は『アリー/ スター誕生』について、クーパーの仕事ぶりを「初監督だとは思えない」と絶賛。カメラワークの的確さや画面の構図が「非常に素晴らしい」として、クーパーの判断がフィルムメーカーとして映画全体を貫いているのだと記している。

「僕は『アリー/ スター誕生』がとても好きになりました。これは間違いなく、名監督の誕生を告げる映画です。」

奇しくもクーパーの次回作は、本作を手がける予定だったクリント・イーストウッドが主演・監督を務めた『運び屋』(2019年3月8日公開)。主演俳優と監督を兼任するスタイルで高く評価されたことは、今後、クーパーがイーストウッドと同じようなキャリアを歩んでいく可能性を開いたといえるだろう。ドゥニ・ヴィルヌーヴという気鋭のクリエイターが認めた力量を、ハリウッドが放っておくはずがないのだ…!

映画『アリー/ スター誕生』は2018年12月21日(金)より全国の映画館にて公開中

『アリー/ スター誕生』公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/starisborn/

Source: Variety

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

THE RIVER編集部。「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。国内舞台作品の執筆・創作にも携わっています。ビリー・アイリッシュのライブに行きたい。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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